Dr.ノート
市立枚方市民病院院
枚方市禁野本町2-14-1 TEL072-847-2821

病院長 森田 眞照先生
医学博士 日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、 日本乳癌学会認定医、
大阪医科大学臨床教育教授

副院長・内科主任部長 坂根 貞樹先生
医学博士 日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本内分泌学会専門医・指導医、日本甲状腺学会専門医、
大阪医科大学臨床教育准教授

副院長・内科主任部長 本合 泰先生
医学博士 日本消化器病学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、
日本超音波医学会専門医・指導医、大阪医科大学臨床教育教授

副院長・外科主任部長 木下 隆先生
医学博士 日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、
日本内視鏡外科学会技術認定医・評議員、鳥取大学臨床教授

副院長・診療局長 赤塚 正文先生
医学博士 日本麻酔科学会認定麻酔科指導医、麻酔科標榜医、日本ペインクリニック学会認定専門医、
大阪医科大学臨床教育教授、大阪歯科大学非常勤講師

副院長 古川 恵三先生
医学博士 日本内科学会認定内科医・指導医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医、
大阪医科大学臨床教育教授


http://www.city.hirakata.osaka.jp/freepage/gyousei/byouin/


健康は自分で守る―予防医学のすすめ― 平成23年3月1日号 <副院長/古川 恵三先生>

命の見張り番―麻酔科 平成23年2月1日号<副院長・診療局長/赤塚 正文先生>
外科手術の進歩 平成23年1月1・15日合併号<副院長・外科主任部長/木下 隆先生>
癌(がん)医療の現在 平成22年12月1日号<副院長・内科主任部長/本合 泰先生>
生活習慣病は恐ろしい 平成22年11月1日号<副院長・内科主任部長/坂根 貞樹先生>
医療機関の役割 平成22年10月1日号<病院長/森田 眞照先生>
病院のかかり方 平成22年9月1日号<病院長/森田 眞照先生>


健康は自分で守る―予防医学のすすめ―

 厚生労働省の統計資料によると、現在、日本人の死亡原因の上位は、がん、心疾患、脳血管疾患の順となっています。さらに、突然死の中で最も多いのは、急性心臓死です。
 病気を治す「治療医学」が大変進歩していますが、正しい知識を持ち、日頃の生活習慣を改めれば、未然に防ぐことができる病気もあります。そのため、病気にならないように日頃から予防する、また病気を早期に発見して治療し、再発を防止する「予防医学」が重要となっています。
 皆さんの食生活・運動・生活習慣で、病気の原因になる不適切なものはありませんか?
 近年、アルコールの消費量が伸びるのと平行してアルコール性の肝障害が増え続けています。また、タバコを吸っている人は、吸わない人に比べて、およそ1.5倍の確率でがんにかかりやすいと言われています。適切な食事、運動は、糖尿病や脂質異常症などの病気を防いだり、症状を改善したりすることができます。インフルエンザや子宮頚がんなどの予防接種も病気の予防に有効です。
 予防医学の主人公は医師ではなく、健康で充実した人生を求める皆さん自身です。そのために、本院でも人間ドック・脳ドック・各種健診・予防接種等を行っていますので、ぜひご活用ください。


命の見張り番―麻酔科―

 「麻酔科」という科をご存じですか。以前は、外科医が手術の際に麻酔をかけていましたが、非常に危険であり、安全に麻酔を提供できる専門科が必要だという要求に応えて、独立した経緯があります。
 麻酔科医は、手術を受ける患者様の手術前・手術中・手術後の全身状態を把握して、どのような麻酔法が適切かを判断し、手術中に起こり得る合併症を素早く見付けて対応するなど、手術が体に与える影響を最小限にし、元気に退院していただくための総合的な医療を提供しています。言わば、手術の安全性を支える「命の見張り番」の役割を担っているのです。
 また、現在、多くの麻酔科医がその知識を応用して、重症患者の集中治療や救急医療、様々な痛みの治療(ペインクリニック)、そしてがん治療における緩和医療など、多方面の分野で活躍しています。
 当院は臨床研修医の育成に積極的に取り組んでいますが、2年の研修終了後、麻酔科医として様々な地域で活躍する多くの若い医師を輩出していることが、大きな特色となっています。 また、市民の皆様に多大なご協力を頂きながら、地域の救急医療に貢献している救命救急士の気管内挿管実習病院としての役割も担っています。


外科手術の進歩

 内視鏡外科手術をご存じですか。この手術はおなかや胸に0.5〜1cmの小さな穴を開け、そこからビデオカメラと特殊な器具を挿入し、モニターテレビを見ながら行なう手術です。従来の開腹手術と比べ、傷も小さく痛みも少ない、早期退院や社会復帰が望める体に優しい理想的な手術法です。
 '90年に日本に導入され、外科手術療法に新しい時代を到来させました。腹部外科領域では'90年に381件であった内視鏡外科手術件数が、'09年には6万807件に増加し、胆石症のみならず、胃がん、大腸がん、そけいヘルニアなど多くの消化器・一般外科手術で行なわれるようになっています。
 しかし現時点での問題点は、奥行きのないモニター画像下での手術で、触感も得づらいことから手技が難しく、外科医が手技を習得するのに多くの時間を要することです。'05年に手術の技術向上と安全性を高めるため日本内視鏡外科学会技術認定医制度が作られました。現在日本には約730人の消化器・一般外科領域技術認定医が認められていますが、消化器外科医の約4%にすぎません。市民病院でも、この内視鏡外科手術を積極的に取り入れており、上記の疾病のみならず、総胆管結石症や腸閉塞症、肝がんなどの難度の高い手術も技術認定医の指導のもとで行なっています。


癌(がん)医療の現在

 癌は日本人の3大死因(癌、脳血管障害、心疾患)の一つで、日本人の2人に1人が発症し、3人に1人が癌で亡くなっています。最近の癌治療のキーワードから、癌医療の現在を説明します。
 1.早期発見・早期治療…癌は早期発見することで、負担を小さく治療でき、癌死亡を避けることが可能になりますので、定期的に癌検診を受けることをお勧めします。
 2.発癌危険群:癌にかかりやすいことが分かっている人を発癌危険群と言います。危険群の設定は癌によって違い、ヘリコバクタピロリ感染と胃癌、タバコと肺癌、アルコールと食道癌、慢性肝炎と肝癌などが有名です。また、肥満の人は男女とも胃癌、食道癌、膵癌などの発症リスクが高まることが分かっています。
 3.分子標的薬:抗癌剤は癌細胞の増殖を抑制する一方で正常細胞も抑制するため、貧血や脱毛などの副作用があります。最近、癌細胞だけに存在する特徴的な分子を選択的に抑制する分子標的薬の開発が盛んで、既に臨床応用されています。
 4.緩和医療:癌患者やご家族の心や肉体的な痛みを、上手にコントロールする医療です。本院も建て替え後の新病院では緩和ケア病棟を設置します。
 癌医療は日々前進しているので、心配する前に医療機関でまず相談してください。


生活習慣病は恐ろしい

 生活習慣病とは、もともと病気になりやすい体質に加えて、食事内容や運動、休養、たばこ、お酒といった日頃の習慣が、発病のきっかけになる病気のことで、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症(コレステロールが高い)や痛風などが含まれます。普段はたいした症状がないので、健診で注意されて初めて気付くことが多いのですが、実は症状がないのが恐ろしい!放っておくと命にかかわる重大な病気を引き起こします。 最近よく話題になる 「メタボ」(メタボリックシンドローム)とは、ただおなかの周りが太いだけではなく、生活習慣病が幾つも重なって潜んでいる状態のことです。内臓に脂肪がたまった肥満(人間ドックのCT検査で正確に診断できます)に、血圧が高い、血液検査で中性脂肪が高いとか善玉コレステロールが少ない、血糖値が高いことなどが加わることで、心臓病や脳卒中になる危険性が5倍〜20倍以上にも高まります。40歳以上の男性は2人に1人がメタボあるいは、予備軍と言われ、脂肪の取りすぎや運動不足が関係しているようです。
 メタボ対策には早期診断と生活習慣の改善が何より大切です。当院は糖尿病学会、内分泌学会認定施設として、生活習慣病の予防と治療に向けたチーム医療に積極的に取り組んでいます。


医療機関の役割

 前回に引き続き、個人の医院を含めた病院のかかり方についてお話します。最近はインターネットが普及していますので情報があふれています。昔に比べると、どの病院がどんな診療をしているのかは随分、分かりやすくなりました。しかしネットの情報がすべて正しいわけではなく、自分で判断しなければなりません。この判断を助けてくださるのが、かかりつけ医です。
 まず、近所のお医者さんで、家族の身体のことをよく知っていただける開業医を見付けましょう。 大きな病院にもそれぞれ得意な分野と、そうでない分野があります。かかりつけ医の先生方は、病院と常に情報を交換しており、最新の情報をお持ちです。現在は一つの病院ですべての病気を解決することは、難しくなってきていますので、かかりつけ医に適切なアドバイスを受けられるようにしましょう。
 また、救急で受診したい場合でも、救急病院にも役割分担があります。急病の場合は、まず初期急病センターを受診していただき、入院や緊急の処置が必要と判断されれば、後送病院に搬送されます。
 更に、救急車を要請しなければならないような重症の場合は高次の救命センターなどに搬送されます。 皆様がこのルールに従って病院を受診されれば、重症の患者さんの救命率も高くなるのです。


病院のかかり方

 今月から、このコラムを枚方市民病院の医師が担当させていただきます。
 第一回目は、病院のかかり方についてお話します。人間ドックや検診などで異常を指摘された場合ではなく、ご自分で体調不良を感じて病院を受診される場合、いつ受診したらいいのか、色々と悩まれると思います。
 まず大切なのは、通勤・通学・家事などでお忙しいでしょうが、時間のやりくりをして、必ず各病院の通常の診察時間内に受診いただくことです。医師が病気の診断をするには、たくさんの情報と知識が必要です。病院が各診療分野の専門の医師を配置し、詳しい検査のための体制を整えているのは昼間の診察時間帯ですから、正確な診断を迅速に受けて早く治療を開始するためには、その時間内に受診することが大切なのです。受診を引き延ばし、症状が急激に悪化してから診療体制の手薄な夜間救急を受診されることは、ぜひ避けていただきたいと思います。 また、病気のごく初期に正しい診断にたどり着くことは、各種の検査技術が進んだ現在でも難しいことが多く、時間が経ってから診断の決め手となる典型的な症状が現われることがありますから、症状の変化に注意していただき、データが蓄積されている同じ病院を継続的に受診することも大切です。