地域医療の立場から


診特定医療法人 三上会 総合病院 東香里病院
枚方市東香里1-24-34 TEL072-853-0501
 


http://www.higashikouri-hp.com




働く人のメンタルヘルス 
平成22年2月15日号
褥瘡(床ずれ)を予防するために 平成21年12月15日号
「腎機能検査結果が異常」と健康診断で言われたら… 平成21年11月15日号
いびきと無呼吸 平成21年10月15日号
胃食道逆流症 平成21年9月15日号
物忘れ外来のご案内 平成21年8月1日15日合併号
血圧脈波検査 心血管病になるリスクは? 平成21年7月15日号
鼻呼吸の大切さ 平成21年6月15日号
脱水症 平成21年5月15日号
気骨粗しょう症のお薬 平成21年4月15日号
物忘れ 平成21年3月15日号
こんな時は腎臓専門医へ 平成21年2月15日号
腎臓移植 平成20年12月15日号
透析色々 平成20年11月15日号
腎不全の治療 平成20年10月15日号
不眠・眠れない… 
平成20年9月15日号
社会不安障害 平成20年8月1日15日合併号
健診で高血圧と言われたら 
平成20年6月15日号
禁煙しませんか 
平成20年5月15日号
高尿酸血症と痛風 平成20年4月15日号
脂質異常症
平成20年3月15日号
慢性肝臓病
平成20年2月15日号
巻き爪で悩んでいる方へ
平成20年1月1日号

角気分の障害〜躁(そう)とうつ
〜 平成19年12月15日号
角気分の障害〜躁(そう)とうつ〜 平成19年11月15日号
胆石について 平成19年10月15日号
認知症患者との接し方
平成19年9月15日号
むくみについて
 平成19年7月15日号
閉寒性動脈硬化症について
 平成19年5月15日号
白内障について 平成19年4月15日号
自己評価 平成19年3月15日号
涙自宅でできる透析-CAPD- 平成19年2月15日号


脂肪肝
 平成18年12月15日号
メタボリックシンドローム 平成18年11月15日号
急性虫垂炎について
 平成18年9月15日号
骨粗しょう症について 平成18年7月15日号
分かっちゃいるけどやめられない 平成18年6月15日号
不眠症の非薬物療法
 平成18年5月15日号
パニック障害
 平成18年4月15日号
東香里病院の特徴 平成18年3月15日号
閉寒性動脈硬化症について
 平成18年2月15日号
うつになる自分に対する誇り
 平成18年1月15日号

カゼの季節について 平成17年12月15日号
白内障について 平成17年11月15日号
女性のストレス 平成17年10月15日号
睡眠時無呼吸症候群 平成17年9月15日号
消化管の健康診断 平成17年7月15日号
「ケガ」(外傷)の治療
 平成17年6月15日号
毛根管症候群とは
平成17年5月15日号
透析治療とは 平成17年4月15日号
うつ病と精神科治療 平成17年3月15日号
アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療 平成17年2月15日号

 

 

 


働く人のメンタルヘルス
 雇用形態の変化、激しい国際競争、不況、はたまた、精神疾患の啓発、新型抗うつ薬の功罪?原因を特定するのは難しいことですが、近年、日本では急激にうつ病患者が増えています。
 それに伴い、うつ病で休職する人も急増しています。身体疾患に比べて、うつ病は就労者年齢に好発し、長期休職に至るケースが多く、職場や家庭の経済的損失は多大です。 うつ病の増加と言っても、従来のうつ病像とは異なる、抑うつ気分の軽い自覚と、ストレス状況(会社・学校・育児)では調子が悪くなるという「非定型うつ病(現代型うつ病、新型うつ病)」の増加が産業精神領域でも問題となっています。うつとしては軽症でも、適切な対応を取らなければ、職場適応が悪くなることに変わりはありません。
 もし、就労者が精神的な不調を感じたら、まず上司や産業医に相談して、過重労働などストレス因を確認し、不眠など明らかな精神症状がある場合には、精神科や心療内科の受診を考えてみてはいかがでしょうか?
 軽症ならまず日常生活リズムや睡眠覚醒リズム改善の指導、中等症以上では抗うつ薬など治療薬の投与、場合によっては休職の勧め。十分休養して急性期を過ぎれば、リハビリ(在宅リハビリの指導、リワーク施設の紹介)と、復職につながるよう助言致します。


褥瘡(床ずれ)を予防するために
 褥瘡とは、体重の集中する部位の骨と寝具に挟まれた皮膚組織が圧迫され、「血の流れが悪くなり、皮膚やその下にある組織が死んでしまう外傷」を言います。通常、私たちは睡眠時、無意識のうちに「寝返り」を打ち、体重が一定の場所に長時間かかるのを防いでいます。ところが、寝返りを打てないと、体の同じ所に体重がかかり、血の流れが停止します。これが長く続くと血液が通わず、組織が損傷し褥瘡ができてしまうのです。
 では、褥瘡はどのような人にできやすいかと言うと、@ほとんど日中、臥床(寝ていること)や車いすで過ごし、自分で寝返りを打つことが困難な方A食事を十分に取れず、やせて骨が突出したり、むくみのある方B関節が伸びずに固まっている方(関節拘縮)C寝たきりで尿失禁、便失禁が続いている方D高齢で発熱が続いたり、持病の状態が急に悪化した時などです。
 褥瘡の予防は、まず圧迫を取り除くことが重要です。状態に合った適切な褥瘡予防マットレスや車いす用クッションを使用すること、自分で寝返りが打てない方には定期的に体の向きを変えることが大切です。円座の使用や褥瘡周囲のマッサージは褥瘡を悪化させることがあるので行わないようにしましょう。そのほか、毎日皮膚を観察すること、またバランス良く食べて栄養を取り、皮膚の清潔を保つことも重要です。
 当院では、褥瘡外来を開設しています。お困りの方は電話でのご相談もお受けしています。


「腎機能検査結果が異常」と健康診断で言われたら…
 枚方市、寝屋川市の国民健康保険特定健診の結果に、今年 度から新しく血清クレ アチニンとeGFR(推算GFR)が記載されています。
両方とも腎機能 (腎臓が尿をつくる能力)の指標ですが、eGFRの方がより正確で感度の高い検査です。
 eGFRの正常値は90ml/分以上ですので、90未満で異常値と判定されますが、「異常値」が即「問題」とはなりません。腎機能は年齢とともに低下しますので、例えば75歳の方が70ml/分であれば異常値(すなわち腎機能低下)と報告されますが、年相応の低下であり、問題ではありません。
しかし60ml/分以下(正常の腎機能の約50%以下)になると、心血管疾患を来しやすくなり、死亡率が高まりますので、かかりつけ医にご相談ください。さらに、50ml/分以下になると、腎機能の低下速度が速くなり、腎不全になる確率が増加し、心血管疾患や死亡率も、さらに増加します。したがって、日本腎臓学会ではeGFRが50ml/分以下では腎臓専門医への受診を勧めています。
 高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などを合併していると腎機能は悪化しやすいため、より慎重な経過観察と早めの受診が望まれます。 また尿蛋白が陽性(2+以上)である場合には腎機能低下が速いので、eGFRにかかわらず腎臓専門医への受診が勧められます。
 なお、タバコも腎機能増悪因子ですのでeGFRが60ml/分以下では禁煙をお勧めします。


いびきと無呼吸
 人間は人生の3分の1を睡眠に費やしています。睡眠中に疲れた体と脳を休ませ、メンテナンスを行います。よく眠れなかった翌日は頭がボーッとして、集中力が欠けるように、良質な眠りがないとメンテナンスが不十分になり、昼間に十分な活動ができなくなります。
 平成15年に運転士の居眠りによって、新幹線が緊急停止した事故がありました。後に、この運転士が睡眠時無呼吸症候群だったことが分かりました。仕事中でも運転中でもお構いなしに急に居眠りしてしまうという、この病気の特徴的な症状が事故につながったのです。
 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸になる病気です。繰り返して起こる無呼吸で、睡眠の質が落ち、長時間眠っていても日中に眠気を感じます。起床時の頭痛、昼間仕事中に眠くて困る、といったことはありませんか。寝ている時にいびきが大きい、息が止まる、と指摘された経験はないでしょうか。
 当院では簡易型の器械を用いて、睡眠時無呼吸症候群の診断を行っています。器械は寝る前に装着し、起床時に外します。治療は主に、マスクの装着で睡眠の質を改善します。思い当たる方は、一度お気軽にご相談ください。睡眠時無呼吸症候群の治療が、心血管疾患の予防・治療につながるとも考えられています。


胃食道逆流症
 胃食道逆流症(GERD)とは、食道に酸性の胃の内容物が逆流し
て、食道下部に炎症を起こし、胸やけなどの症状を来す疾患です。
 胃は、消化を行うために胃酸や消化酵素を分泌していますが、それと同時に粘液で胃の表面を覆い、胃酸から自分自身を守っています。しかし食道は胃酸に弱いので、胃内容物の逆流により容易に傷付いてしまいます。
 最も典型的な症状は、食後しばらくして起こる胸やけです。このほかに、狭心症のような胸痛、喘息のような咳や息切れ、咽頭炎のような声がれ・のどの不快感など、胃とは直接関係ないと思われるような症状もあります。
 内視鏡検査をすると多くの場合、逆流性食道炎が認められますが、全く炎症が見られない方もいます。症状は胃酸の逆流によるものなので、胃酸の分泌を抑える薬を内服して症状が消えるかどうかで診断することもあります(PPIテスト)。
 胃食道逆流症と診断されたら、胃酸の逆流を防ぐために、次のようなことに注意してください。 食事は腹八分目にし、油っこい物、強い香辛料、炭酸飲料、消化の良くない物は避けてください。日常生活では、おなかを締め付ける衣服は避け、背筋を伸ばして前かがみの姿勢をやめ、食後すぐに横にならないように。薬物治療では、胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を使用します。
 原因の分からない胸やけ、胸痛、咳、のどの不快感などがあれば、一度PPIテストを受けてみてください。


物忘れ外来のご案内
 人間誰しも年を取ると物忘れが多くなってきます。特に中高年以降になると、人の名前を思い出せなくなったり、物の置き場所を忘れてしまったりします。同じことを何度も言ったり尋ねたりします。こんな時は、ぼけてしまったのではないかと心配になります。
 しかし、物忘れの多くは正常な老化現象によるもので、知能や精神機能が低下する認知症とは異なります。物忘れを自覚できている間は認知症の心配はほとんどありません。認知症では物忘れの自覚そのものがなくなってしまいます。また、認知症では、今見たものや聞いたことが何だったのか思い出せません。例えば、正常な老化現象では朝食の内容を忘れてしまっても、ヒントを与えられると思い出すことが多いのですが、認知症では食べたこと自体を忘れてしまうことが多いのです。
 しかし急速に物忘れがひどくなってきたという場合には、慢性硬膜下血腫や脳腫瘍などを疑わなくてはなりません。また、うつ病や神経症にかかると、集中力や判断力が低下するために物忘れが目立つようになりますし、常用している薬によっても物忘れの原因となることがあります。これらの物忘れは治療により治る可能性のある物忘れであって、一般に認知症といわれる物忘れとは異なります。
 最近、物忘れが目立ってきたようなら、物忘れ外来を受診されることをお薦めします。


血圧脈波検査心血管病になるリスクは?
 読者の方で年齢とともに血圧が上がってきて、いずれ脳梗塞や心筋梗塞などの心血管病になるのではと、心配されている方はいないでしょうか?高血圧、高脂血症、糖尿病などの疾患を一つでもお持ちの方は特に心配されていないでしょうか? その可能性が高いかどうかを評価するのに簡単に施行できる検査があります。脈波速度(pulse wave velocity ; PWV)を測定します。それは四肢(両上腕と両足首)を同時血圧測定することで、そのカフの容積波から自動計測して、その数値から心血管病になるリスクを判定できます。
 脈波速度は、血管の壁が柔らかいと弾力性があり、しなやかな血管になるので、脈がゆっくり伝わることになります。しかし血圧上昇とともに動脈硬化が進行すると、しなやかさが失われるため、心臓からの脈が速く伝わることになります。つまり動脈硬化が進むと脈波速度が速くなります。必要に応じて生活指導や薬物治療の介入が必要になってきます。
 現在、降圧剤を内服されている方でも内服されていない方でも、下肢への血流が落ちていない方であれば一定の評価ができますので、気になる方は検査を受けに来院してください。


鼻呼吸の大切さ
 私たちは普段、鼻から空気を吸い込んで呼吸をしています。通常は冷たく乾いた空気を吸い込んでも、空気は鼻の中で温まり、加湿され、潤いのある状態となって、のどから気管を通って肺に入っていきます。いわば鼻には加湿器の役割があり、湿度や熱に弱いウイルスもある程度はブロックできます。
 ところが、鼻が詰まり口呼吸になると、加湿されていない乾燥した空気が直接のどに入ります。そのため、のどがイガイガする、上あごがかゆい、のどが渇く、のどが痛い、せきが出る、風邪を引きやすいといった様々な症状の原因となります。たかが鼻詰まり、されど鼻詰まりです。
 一般的に鼻詰まりの原因として、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症、鼻茸、慢性副鼻腔炎などがあり、適切な処置や薬、もしくは外科的治療を行うことで症状の改善を十分に期待できますので、あきらめずに一度、耳鼻咽喉科外来へご相談ください。
 また、同様にお子さんも注意して見てあげてください。普段から口を開けていませんか。鼻声やいびきはありませんか。 子どもの場合、鼻詰まりが集中力や学習意欲の低下につながる場合もあり、自身ではなかなか気付くことができません。この場合も放置せず、お気軽にご相談ください。


脱水症
 これからの暑い時期には、脱水症に注意が必要です。体の水分の量と組成は、主に腎臓や脳の働きで微妙に調整されています。体に入る水分は食事と飲み水で、出る水は尿、便、皮膚、息からです。これらの出入りのバランスが崩れて水分が過剰に失われた状態が脱水症です。
 夏に脱水症が増えるのは、水分が汗として皮膚から失われるからです。炎天下での激しいスポーツでは何リットルもの水分が失われます。また、汗には食塩が含まれているので、同時に塩分も喪失しています(この状態を脱塩といいます)。水やお茶だけの水分補給では血液のナトリウム濃度が低下して、ひどい時にはけいれんを起こしたりします。そのためスポーツドリンクのようなナトリウムが含まれる飲料水での補充が得策です。
 発熱時にも発汗が起こるので、同様の注意が必要です。下痢、吐き気・嘔吐(おうと)があると、脱水は更にひどくなります。通常、脱水になると腎臓が水分を体に残そうとして、濃い尿を作りますが、高齢者、乳幼児、糖尿病、利尿剤服用時では、その能力が低下して、脱水症を来しやすくなります。
 重度の脱水症では、急性腎不全や意識障害などが起こり、命にかかわります。また動脈硬化で血管が詰まりやすい高齢者では、血圧低下や血液の濃縮のため、脳梗塞や心筋梗塞の誘因にもなります。
 予防は、運動時、発熱時などでは、こまめに水分を補給することです。胃腸炎などで、水分が受け付けない状態なら点滴を受ける必要があります。


骨粗鬆症のお薬
 骨粗しょう症とは骨がもろくなる病気で、閉経後の女性に多く見られます。初期には自覚症状はなく、そのうち腰や背中の痛み・彎曲、大腿骨頚部(ふとももの付け根)、背骨などの骨折が起こりやすくなります。髪の毛は抜けながら生えて一定量を保っていますが、骨も同じで吸収されながら形成されて骨の量を維持しています。閉経後の骨粗しょう症では、吸収が多過ぎて骨がもろくなっています。骨粗しょう症は、骨量測定、レントゲン検査で診断できます。更に血液や尿検査から骨代謝の状態やカルシウムのバランスを診ることができます。
 骨折を予防する効果が確実にある薬剤としては、ビスフォスフォネート製剤(ボナロン、フォサマック、アクトネル、ベネットなど)と選択的エストロゲン受容体モジュレーター(エビスタ)があります。特に前者は骨の吸収を抑制することで、背骨、大腿骨とも骨折予防できる最も強い薬剤です。朝食30分前にコップ1杯の水で服用し、朝食までは横になってはいけない(座位、立位は可)という服用上の注意があります。毎日ではなく週1回だけ飲めば済む薬もあります。
 通常3〜5年間は服用する必要がありますが、その後は一旦休薬しても数年は効果が持続するとされています。ビタミン製剤やカルシウム製剤などといったもっと穏やかなお薬もあります。
 骨代謝マーカーや骨密度検査などから、体に合った薬の種類と量、組み合わせ、投与期間を決めるのが良いと思われます。


物忘れ
 中年以降になると誰でも物忘れが多くなってきます。人の名前を思い出せなくなったり、物の置き場所を忘れてしまったりすると、ぼけてしまったのではないかと心配になります。しかし、物忘れの多くは正常な老化現象によるもので、知能や精神機能が低下する認知症とは異なります。よく言われるように、物忘れを自覚できている間は認知症の心配はほとんどありません。認知症では物忘れの自覚そのものがなくなってしまいます。また、貴重品をどこにしまったとか、薬を飲んだかとか、人の名前が出てこないなどは加齢に伴い、よくあることですが、認知症では、今見たものが何だったのか思い出せません。普通、ヒントを与えられると思い出すことが多いのですが、認知症ではそれでも思い出せません。
 しかし急速に物忘れがひどくなってきたという場合には、慢性硬膜下血腫や脳腫瘍などを疑わなくてはなりません。また、高齢者になるとうつ病や神経症にかかる割合が多くなります。これらの病気では、集中力や判断力が低下するために物忘れが目立つようになります。また、常用している薬によっても物忘れの原因となることがあります。これらの物忘れは治療により治る可能性のある物忘れであって、一般に認知症と言われる物忘れとは異なります。
 最近、物忘れが目立ってきたようなら、受診されることをお薦めします。


こんな時は腎臓専門医へ
 最近「慢性腎臓病」が注目されています。その理由は、慢性腎臓病が悪化すると透析が必要になるためと、腎臓の力が低下するに従って心血管系疾患(心筋梗塞や脳卒中など)が増加するためです。
 では、慢性腎臓病はどのようにして発見されるのでしょう。腎臓は非常に予備力のある臓器なので、自覚症状はなかなか出ません。ほとんどは、尿や血液の検査を受けて初めて発見されます。
 尿の検査では、1.繰り返し検査をしても尿蛋白が陽性(2+以上)や、2.尿蛋白と尿潜血反応がともに陽性(1+以上)である場合に、専門医を受診すべきとされています。
  血液検査では血清クレアチニンが重要です。ただ、クレアチニン値は年齢や性別によって変動し、高齢者や女性では、正常範囲内でも実は腎機能が低下していることがあり、腎臓病を見逃すことがあります。
 この問題を解決するために最近、糸球体濾過量(腎臓が尿をつくる力を正確に表す指標)をクレアチニン値と年齢、性別から推定する計算式が考案されました。3.推算した糸球体濾過量が50ml/分未満なら専門医に相談すべきと、日本腎臓学会では推奨しています。
 症状が出る前に慢性腎臓病が発見できれば、生活習慣の注意と治療で腎臓を温存したり、少なくとも悪くなる速度を緩やかにすることができます。
 市民検診や学校、会社での検診をきちんと受け、前述の1・2・3のいずれかの異常があれば専門医に相談することをお勧めします。


腎臓移植
 移植療法は多くの疾患において現代の医療で行える最終的な治療法と言えます。腎臓移植もまた透析と並んで腎不全の最終的な治療法です。健康な人(親族もしくは夫婦に限られる)から臓器の提供を受けることを生体腎移植、心臓死・脳死した人から提供を受けることを献腎移植と言います。
 腎移植希望者は非常に多く08年8月末までで1万1628人が登録されています。腎移植は心臓や肺・小腸などと比べて非常に移植件数が多く、一般的な治療として定着しつつあります。
 しかしこれは生体腎移植の増加によるもので、献腎移植数はあまり増えていません。07年の日本の献腎移植件数は187例であり、毎年1万例以上の移植を行っているアメリカと比べるといかに少ないかが分かると思います。
 この理由の一つはドナー不足ですが、これを早急に改善することは困難です。そこで効果的に提供臓器が移植されるように「日本臓器移植ネットワーク」によって臓器搬送時間、組織適合性抗原、待機日数などを総合的に評価された上で公正・公平に移植先を決定されているのです。
 移植費用は健康保険が適用され、そのほかに公費補助も受けられることもあります。腎移植の成績は免疫抑制剤の進歩などで年々良くなっています。腎移植は透析療法と比べて社会復帰・長期的医療費用の面で優れた医療ですが、免疫抑制剤の副作用やドナー不足など克服すべき問題も多いことを忘れてはいけません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 H10年近畿大学医学部卒業、H20年大阪大学医学系研究科大学院卒業


 

透析色々
 医学の進歩が著しい現代において腎不全が原因で命を落とすことは極めてまれなことです。これは透析療法の進歩によるところが大きく、特に日本は世界でもトップクラスの水準を誇っています。日本では透析患者が年々増加しており07年には27万人を超えました。
 透析には血液透析(HD…皆さんが言う透析≠ナすね)と、腹膜透析(P
D)があります。年々増加している透析患者のほとんどがHDですが、十数年前と比べてHDの技術が安全かつ効率的となっているからです。
 HDとPDにはそれぞれ特徴があります。HDは専用の機械を用いて血液を直接浄化する方法で、時間と回数が少なく済みますが専門の医療機関でしか行えません。PDは基本的に自分でする透析で、おなかに専用のチューブを入れておけばどこでも行うことができます。ただ大きな問題点として5〜10年で中止する必要があります。おなかに入れた透析液により腹膜が傷害されて硬化性被嚢性腹膜炎を発症する危険性が高いからです。
 腎移植の少ない日本においてはPD中止後はほとんどがHDに移行します。このようなことを聞くとHDが良いように思うかも知れませんが、最初にHDを始めた症例よりPDからの移行例の方が生命予後が良いと言われており、PD firstという考えでPDとHDの両方を行う施設も増えてきました。透析が必要と言われた時はよく主治医と相談してください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 H10年近畿大学医学部卒業、H20年大阪大学医学系研究科大学院卒業


腎不全の治療
 昔からスイカは腎臓に良い食物とされていますが、この理由をご存じでしょうか。昔は脱水による急性腎不全が多く、治療目的でスイカを与えていたからです。少し難しい話ですが「腎不全」とは腎臓がうまく働かない状態を総じた表現です。経過や原因が様々であり対処も異なるため、すべての腎不全にスイカが良いわけではありません。
 腎不全は経過によって「急性」・「慢性」に、原因によって「腎前性」・「腎性」・「腎後性」に分けて対処されます。急性腎不全は腎前性・腎後性腎不全であることが多く、慢性腎不全は腎性腎不全がほとんどです。腎前性・腎後性は腎臓より前・後に病気があるものになります。そうすると腎臓の前・後っ
て?となりますね。
 腎臓は流れてきた血液から体に不要なものを尿として排泄する臓器。つまり腎臓の前とは入ってくる血液の流れ、後とは出て行く尿の流れとなります。血液の流れを悪くするのは脱水や心臓病です。尿の流れを悪くするのは結石や腫瘍です。これらが原因の腎不全は原因の除去が腎不全の治療となります。
 腎性腎不全はほとんどが慢性腎不全となるため、治療方法は食事制限やお薬で少しでも進行を遅らせて最終的には腎代替療法へ移行します。このような時にスイカはかえって体に悪影響を及ぼします。腎臓疾患における最終的治療である腎代替療法には透析と移植がありますが、今後詳しく紹介していきます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 H10年近畿大学医学部卒業、H20年大阪大学医学系研究科大学院卒業


不眠・眠れない…
 眠りたいのに眠れないという非常につらい不眠症。現代社会では4〜5人に一人は不眠症で悩んでいるといわれています。でも、発明王エジソンの睡眠時間は一日4時間、有名なナポレオンは3時間、レオナルド・ダ・ビンチに至っては90分しか眠らなかったといわれています。
 それでは不眠症とは何なのでしょう。不眠症の定義としては「実際の睡眠時間の長短に関係なく、起床時に睡眠に対する不満足感が強く、それによって身体的、精神的、社会生活の支障を感じている状態」といわれています。
 不眠には大きく分類して5つの原因があるといわれています。まず、身体的な要因として高血圧や糖尿病を始め様々な病気で起こるといわれています。次に生理学的要因で、環境の変化による不眠、いわゆる枕が変わると眠れないというものです。3つ目は心理的要因といわれ、心配で夜も眠れないというように、ストレスや不安が原因のものです。4つ目は精神医学的要因で、うつ病、神経症、統合失調症などすべての精神疾患で不眠が見られます。5つ目は薬理学的要因です。アルコールやコーヒー以外にも降圧薬やステロイド剤などの薬で不眠を引き起こすこともあります。
 治療としては薬物療法以外にも生活習慣などを改める非薬物療法などがあります。眠れないで困っている方は一度、医師に相談されたらいかがでしょうか。


社会不安障害
 例えば人前でのスピーチを控え、「少し緊張する」のは誰にでもあることです。ところが、準備する段階から、失敗して信用を失うのでは、恥ずかしい思いをするのではなどマイナスイメージばかりを考えプレッシャーを感じて苦しんだり、マイクの前で震えが止まらず、声もうわずり続けられなくなってしまうことはないでしょうか。
 あるいは、人との食事、書字、初対面や偉い人の相手をするのに、強い困難を感じている方はおられないでしょうか。このように、対人・社交場面で他人からの注目を浴びる行動への不安により強い苦痛を感じたり、動悸、吐き気、ほてり、声や手足の震えなどの身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障を来すことを、社会不安障害といいます。我々には、皆が平気に人前で自己主張をしているように映るアメリカでの調査でも7〜8人に1人がこの病気で悩んでいるというデータもあり、決してまれな病気ではありません。思春期前から成人早期にかけて発症することが多く、放っておくと、うつ病やアルコール依存症などを合併することもあります。
 詳しいことはまだ分かっていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスの崩れが原因の一つと考えられており、薬物療法や認知行動療法などの治療が有効とされています。単なる内気や恥ずかしがりと片付けずに一度近くの精神科・心療内科で相談されることをおすすめします。


健診で高血圧と言われたら
 健診などで血圧が高いことを指摘されたのに放置していませんか?高血圧は代表的な生活習慣病でありながら、あまり病気という認識を持たれていない方が多いように思います。風邪で受診された患者さんの血圧を測ってみると上が140以上。びっくりして「血圧を下げるお薬を飲んでいますか」と聞くと「もともと(血圧が)高い方なんですよ」と笑いながら返事が返ってくることがよくあります。高血圧は脳卒中や心筋梗塞の危険因子となる怖い病気ですが、あまり症状が出ません。そのために健診で高血圧を指摘されても「今日はたまたま」とか「いつもは低いから」と放置しがちです。健診で異常があれば一度は近くの内科に受診することをお勧めします。仕事が忙しくて行けないと思われている方は、せめて家庭用血圧計で1日に1、2回血圧測定をしてみてください。
 家での血圧が135/85以上であれば食事を中心とした生活習慣改善が必要な高血圧です。改善すべき生活習慣としてはタバコを吸われる方は禁煙、濃い味の好きな方は塩分制限です。
 アルコールは血圧が下がります
が、長期的には血圧を上げてしまうので控えた方が良いです。140/90以上であれば降圧薬が必要な高血圧です。なるべく早く内科を受診しましょう。


禁煙しませんか
 タバコをやめたいけれど、「どうせ無理」とあきらめておられる方はいませんか?
 タバコの煙には多くの有害物質が含まれています。例えば、タールには発ガン性があり、一酸化炭素には動脈硬化を促進する作用があります。そのため、喫煙者では肺ガン、心臓病、肺気腫などによる死亡率が増加します。また、他人のタバコの煙を吸い込むことによって(これを受動喫煙と呼びます)、周りの人にまで悪影響を及ぼします。例えば親がタバコを吸うと、子どものぜんそくが増えます。
 そんなことは十分分かっている、だからやめたい、だけどやめられない・・・。このような方にはニコチン置換療法をお勧めします。タバコをやめられない方の多くは、ニコチン依存症という一種の病気にかかっていると解釈されます。脳がニコチンに依存してやめようとすると離脱症状が出て、結局吸ってしまいます。
 そこで、ニコチンの含まれる貼り薬やガムを使って、約3か月かけて依存症をゆっくり治療するのです。この治療は200
6年から一定の条件を満たせば(1日本数x年数が200以上、依存症の症状の存在など)、保険適用されることになりました。3割負担の方なら自己負担額は約1万2000円です。
 これでタバコが止められれば、吸い続けるより金銭的にもずっとお得です。ただし、この保険を使った治療は、すべての病院では認められていません。一般に「禁煙外来」のある病院で受けることができます。これを機会に禁煙をしてみませんか。


高尿酸血症と痛風
 近年、食生活の欧米化やアルコール飲酒量の増加に伴い、高尿酸血症や痛風が急増しています。高尿酸血症とは、血中尿酸値が7r/dl以上をいいます。痛風とは、関節に尿酸の結晶がたまって起こり、典型的には足の親指の付け根の内側部に激痛・腫脹が急に起こり7〜10日で軽快し、次の発作までは全く無症状である関節炎です。放置すると慢性関節炎に移行します。
 また高尿酸血症は尿路結石や腎不全を来しますし、最近では動脈硬化の危険因子であることが分かってきました。
 したがって、無症状でも高尿酸血症は放置できません。一般に、痛風発作があれば7r/dl以上、なければ8r/dl以上で薬物療法の対象になります。
 生活習慣の是正は常に必要です。1日2000ml以上の尿量を維持するように飲水すること、野菜や海藻などのアルカリ食品を多めに取り、酸性食品である肉類を控えること(尿中での尿酸の溶解度を高めるため)、尿酸の原料であるプリン体を多く含む食品(レバーなど動物の臓物、魚の干物・乾物など)を控えることが必要です。
 アルコールは尿酸を上げる作用がありますので、酒類を問わず過剰摂取は慎むべきです。一日に日本酒1合、ビール500ml、焼酎2/3合、ウイスキーダブル1杯以内で、禁酒日を週2日以上とすることが勧められています。  また、肥満は高尿酸血症の誘因になりますので、適正体重を維持するための食事療法と適度な運動も必要です。


慢性腎臓病
 最近「慢性腎臓病」という病名が頻繁に使われるようになってきています。慢性腎臓病とは、腎機能が低下したり(血液検査で分ります)、検尿異常などから腎臓に何らかの障害があると思われる場合を言います。この中には、何ら症状がなく尿検査で蛋白や血尿が出ているだけの早期の慢性腎炎から、透析を必要とするような慢性腎不全まで含まれます。
 慢性腎臓病が注目されているのは、先進国で慢性腎臓病の末期に必要となる透析患者が増加しており、その予防が急務であることと、腎機能が低下するに従って心血管系疾患(心筋梗塞や脳卒中など)による死亡例が増加するためです。
 慢性腎臓病の治療は、まず生活習慣を改善することが重要です。食事は暴飲暴食を避け、塩分を控えるべきです。また、喫煙は動脈硬化と腎硬化を促進するので禁煙が勧められます。あまり知られていませんが、肥満は腎機能低下と蛋白尿を助長しますので、肥満の方は減量が必要です(標準体重(s)は身長(m)x身長(m)x22で算出します)。 また、高血圧や高LD
Lコレステロール血症は腎機能を増悪させますので、これらに対する薬物療法も必要になります。もちろん、腎臓病の原因となる元々の疾患に対する治療、例えば糖尿病なら血糖管理なども必須です。腎機能を温存したり腎不全症状を軽減する種々の薬も開発されていますが、慢性腎臓病はある意味生活習慣病の一つと言えますので、生活習慣を正すことをないがしろにしてはなりません。


脂質異常症ー動脈硬化症の危険因子ー
 「脂質異常症」は、以前
「高脂血症」と呼ばれていた生活習慣病の一つで、血液検査で@LDLコレステロール高値AHDLコレステロール低値B中性脂肪高値のいずれかで診断されます。コレステロールにはLDLとHDLがあり、LDLはいわゆる「悪玉」で血管壁に蓄積し、動脈硬化を促進させます。HDLは「善玉」で血管壁の余分なコレステロールを取り除き、動脈硬化を予防します。脂質異常症があると、動脈硬化症が促進され、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症(足壊疽)などを起こします。
 治療は、生活習慣の改善(食事・運動・生活の3本柱)から始まります。食事はバランス良く、規則正しく、カロリー・コレステロールを制限し、食物繊維を多く取るようにします。具体的には@暴飲暴食を避け腹八分、Aコレステロールの多い食品(卵黄、魚の卵、レバー、肉の脂身、バター、生クリームなど)を控え、B天ぷらやフライを控え、C野菜・きのこ・海藻・こんにゃくなどを多く取ることです。運動は、歩行なら1日60
00歩、30分。週4日以上を目標とし、最初は軽く
徐々に増やし、心拍数は120/分を超えない範囲で行います。生活は、禁煙し、アルコールは適量に抑え、規則正しい生活を送ることです。生活習慣を改善しても脂質異常が改善しなければ薬物療法を行います。また動脈硬化症の危険因子には、高血圧、喫煙、肥満、糖尿病などもあり、危険因子の数が多くなるほど危険度も高まりますので、より厳格な管理が必要となります。


巻き爪(嵌入爪)で
      悩んでいる方へ

 足の親指の爪が変形し、腫れて痛んでジクジクした経験のある方は意外に多いようです。変形した爪の角が皮膚に食い込んで炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こしたのです。
 爪の変形は先天的な巻き爪の場合から、足に合わない窮屈な靴が原因で爪が変形したもの、また、爪に問題はないものの、爪の切り方、手入れが悪く炎症を起こす場合もあります。
 ところで、いざ治療となると、爪を切られたり、抜かれたりするのが怖くて病院に行けず、一層悪化させてしまう方も多いかと思います。しかし、多くの巻き爪は、ちょっとした工夫で、悪化を防げたり、爪を抜くような処置をしなくてもコントロールできます。
 当科での巻き爪の治療は、基本的には爪を抜きません。炎症の原因となっている変形した爪の角が皮膚に食い込まないように、爪の角と皮膚の間に軟らかいクッションを挟み込みます。これにより炎症が改善し、腫れと痛みが取れます。後は爪が十分伸びるのを待つだけです。
 ほとんどの巻き爪は、ゆったりした靴、足の手入れ(フットケア)、深爪の解消で炎症を起こすこと無く、快適に過ごすことが可能です。
…………………………
 平成18年7月より東香里病院 副院長兼外科部長 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医

気分の障害 〜躁(そう)とうつ〜
 私たちは日常生活の中で、喜びや悲しみ、楽しみ、怒り、充実感、むなしさ、罪悪感など、さまざまな感情を経験します。場面や状況によって気分が変化するのは自然なことで、深い悲しみや怒りを経験した後でも、あるいはうれしさのあまり興奮してしまった後でも、通常は元々備わっている回復力によって、時間とともに平穏な気分に戻ります。しかし気分を平穏に戻そうとする脳の働きが崩れると、うつ状態や躁状態といった気分の障害が出現します。
 うつ状態とは何週間も気分の落ち込みが続き、体のだるさや食欲低下、不眠を伴い、悲観的な考えが頭の中を占領して仕事や家事、趣味も手に付かなくなるなど日常生活に大きな支障を来たす状態です。一方、躁状態とは何日も続けて気分が異常に高まり、眠らなくても疲れを感じず、精力的に活動。多弁で早口になり何時間も話し込んだり、考えが次々に浮かんで自分が特別な素晴らしい人間だと感じ、不必要な高価な買い物や、失敗することが明らかな商売を始めたりします。時には急に怒ったり攻撃的になるなど、周囲の人を困らせてしまう状態です。
 両極端な2つの状態は、どちらも脳内の情報伝達を担う神経伝達物質の機能異常が原因と考えられており、放置すると悪化することもありますが、適切な治療によって改善可能です。ただし躁状態は本人に異常が感じられないことも多く、注意が必要です。


胆石について
 時代劇で「持病のシャクが…」と言って旅のお女中がお腹を押さえてうずくまるシーンがありますが、これらの多くは胆石発作と考えられています。 胆のうは肝臓でつくられた胆汁を一時的にとどめて濃縮する袋状の臓器で、濃縮の課程で胆汁成分が結晶となり結石ができやすいのです。 
 胆のうに結石ができても症状が出ない場合もありますが(サイレントストーン)、胆のう炎の原因になったり、中には総胆管に迷入して胆管炎を起こし、腹痛、発熱、黄疸などの症状が出ることがあります。また、長期間の炎症を繰り返すことで、胆のうが癌化する可能性も指摘されています。右上腹部(右肋骨の下辺り)の差し込むような痛みは典型的な胆石症の発作ですが、そのほかに、背中の痛み、肩こりなども胆石が原因であることもあります。
 診断は比較的簡単で、腹部超音波検査やCT・
MRIなどの非侵襲的画像検査で正確な診断ができます。
 手術は腹部に3か所から4か所の小さな穴を開けて、テレビモニター下で胆のうを摘出します。1時間前後で終了し、術後は数日で退院可能です。
 江戸の昔のお女中ではありませんが、現代でも旅先、特に海外での胆のう炎の発症は現地での緊急手術を要する場合もあり、大変な負担になります。発作を経験した方は早めの治療がすすめられます。ご相談ください。


認知症患者との接し方
 認知症患者においては、接し方自体が精神的安定や向上に向けた重要なケアとなります。
 認知症患者はもの忘れが激しいゆえ、何度も同じ行動や質問を繰り返すことがしばし認められます。時には現実的にあり得ないような話をしたり、理解できない行動を認めることもあります。これに対して叱責したり、否定や訂正を行うことは無意味であり、返って混乱を招いたり、不快を募らせてしまうなど逆効果です。
 認知症患者は叱られた原因は忘れてしまうものの、叱られた時の感情的なしこりは残り、攻撃的、被害的な感情を抱かせたり、うつ状態にさせることもあります。
 間違った対応をとった時は理屈による説得や否定を行うのではなく、まず真剣に話を聞く態度を示し、冷静に本人の話を受け入れ、穏やかな気持ちで対応し、共感的納得を図っていくことです。老人が一生懸命行動したことを支持し、自尊心を傷付けさせないことが大切です。
 こだわりに対しては話題を変えるなど、機転でうまく対応することも必要となってくるでしょう。
 また、認知症患者へ一度に多くのことを話すと混乱を引き起こしますので、ゆっくり分かりやすい言葉で伝えることも大切です。
 言葉だけではなく、優しい仕草などで感情に働き掛けることも信頼関係をつくるのに効果的となるでしょう。


むくみ(浮腫)について
 むくみとは体に水分が過剰にたまった状態です。立ち仕事をしていると靴がきつくなったり、靴下の型がくっきりつきます。起床時には目が腫れぼったくなります。むくみが全身にあれば全身性浮腫、片側の足や腕などに局在していれば局所性浮腫と呼びます。
 むくみの原因はさまざまです。局所性浮腫は、局在的な原因(以前の手術など)のために水分の流れが悪くなって起こります。全身性浮腫は、体質的にむくみやすいだけで重大な病気ではないこともありますが(これを特発性浮腫と呼び、女性にかなりの頻度で見られます)、心不全、腎疾患、肝硬変などや薬剤(痛み止め、降圧薬など)が原因でも起こります。従ってむくみがある場合、重大な病気が潜んでいないか一度は検査を受けておいた方が良いと思われます。
 全身性浮腫の治療は、根本的には原因疾患を良くすることですが、むくみに対しては必要に応じて利尿薬を投与します。特発性浮腫では、多くの場合医学的には薬は不要ですが、患者さんによっては利尿薬を強く希望される方がおられます。確かに、利尿剤を飲むとむくみは改善しますが、体が慣れてきて必要量が増加してきます。そうなると利尿剤による副作用(低カリウム血症など)も問題となってきますので、安易に利尿薬を服用することは望ましくありません。


閉塞性動脈硬化症について
 最近、動いた後に足先やかかとに冷感やしびれを感じたり、痛みを感じたりしたことはありませんか?読者の方でこのような症状があり、高血圧、高脂血症、糖尿病、狭心症などの疾患を一つでもお持ちの方は閉塞性動脈硬化症の可能性があります。この疾患は動脈硬化に伴い動脈内腔が狭くなったり、詰まってしまったりすると手足、特に足に血流が不足する症状を呈する疾患であります。
 症状としては歩行時に起こる痛みが主ですが、重症化しますと安静時でも痛みが起こり、潰瘍や壊死を起こし下肢の切断を余儀なくされる場合もあります。
 診断には問診、視診、触診に加え簡便にできる検査としては下肢と上肢の血圧を同時測定(ABPT)することにより血流の障害の程度が判断できます。
 軽症例では内服薬(抗血小板薬)で病変進行の予防や虚血症状の改善に効果が期待できます。重症例では注射薬(プロスタグランジン製剤)の投与や場合によってはバイパス手術や血管内カテーテル治療が必要になってきます。
 同じような症状に脊柱管狭窄症の可能性もありますが、気になる方は診察・検査を受けに来院してください。


白内障について
 白内障の症状は、かすむ、視力が落ちたようだ、といったものから明るい所で見えにくい、対向車のヘッドライトがまぶしい、片目で見て物が二重、三重に見える、といったものまでさまざまです。
 眼の構造はよくカメラに例えられますが、レンズに当たるのが水晶体、フィルムに当たるのが眼球の内側に張り付いている網膜です。水晶体が混濁し光が通りにくくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像を結ぶことが難しくなるのが白内障です。原因は加齢が一般的ですが、糖尿病やアトピーがある方は若年でも白内障になる場合があります。
 治療は主に点眼と手術があります。点眼は白内障の進行を遅らせる可能性はありますが、症状を改善するものではありません。白内障が進行し、日常生活に不自由を感じるようになれば手術を考えます。手術では混濁した水晶体を超音波などで細かく砕いて吸い出し、人工レンズと入れ替えます。手術は局所麻酔で行いますので痛みはほとんどありません。ただ人工レンズは調節力がなく、焦点が合う距離が限られますので、手術後1、2か月ごろに眼鏡を処方する場合があります。
 最後に視力低下は角膜、網膜、視神経、脳など水晶体以外の病気が原因となることもあります。症状がある場合は一度眼科を受診されることをおすすめします。


自己評価
 自己評価とは自分が自分のことをどう思っているのか、自分に対する意見や判断のことです。自分を愛し、自分を肯定的に見て、自信を持つ。この三つがバランス良くできれば、安定した自己評価を抱くことができます。
 自己評価を維持するには、時々好かれていると感じたり、能力がある(才能がある、役に立つ)と思うことが必要です。
 自己評価が高いと積極的に行動し、成功すると素直に喜び(自己評価上昇)、失敗しても原因結果を相対化し、いつまでも落ち込むことはなく(維持)、また行動します。
 一方、自己評価が低いとあまり行動しません。成功しても自分の能力によるものと思わず(不変)、失敗すると自分はだめだと思い(低下)、次の挑戦もためらいます。
 このように放っておくと同じレベルに留まりがちな自己評価改善策は、
@目標を一つだけにして、それに全力を傾ける。一つでも問題が解決すれば、連鎖反応的にほかの問題にも好影響し行動を起こすことが容易になります。
A失敗を重大に考えない。成功か失敗の二元論で見ないこと。
B行動すること。その結果をうまく受け止め、好循環を起こすこと。
 当科では二人の心理療法士を配置し、心理カウンセリングを保険診療で行っています。医師受診の上、ご相談ください。


自宅でできる透析 │CAPD│
 自宅でできる透析方法があるのをご存じですか?「透析」というと、病院の機械で行う「血液透析」を連想する方が多いと思いますが、実は最近、CAPD(持続的携帯型腹膜透析)と呼ばれる透析方法が普及しつつあります。
 CAPDとは、おなか(腹腔)に挿入した管からきれいな液(腹膜透析液)を腹腔に1日3〜4回出し入れして、血液をきれいにする方法です。操作は簡単で機械も要りませんから、患者さんやご家族が自宅で実施できます。血管に針を刺すことがないので、痛みを伴いません。血液透析では週3回、1回4時間の間に急激に血をきれいにするため、体にストレスがかかり気分が悪くなることがありますが、CAPDでは持続的に血液をきれいにするので、そのようなストレスがありません。
 以上のような利点があるためCAPDは、より完全な社会復帰を望む方、乳幼児〜小中学生、心臓病などのため血液透析に耐えられない方、血液透析に適した血管がない方などに勧められます。一方、腹膜炎や腹膜硬化症を起こすことがあること、徐々に腹膜が痛んでくるので実施可能な期間は5〜10年であることなどが弱点です。
 どんな病気でもそうですが、ご自分に合った治療法を選ばれることが大切です。興味のある方は詳しく説明しますので、ご連絡ください。


脂肪肝
 健診受診者の約2割に肝障害があり、その多くが脂肪肝であると言われています。脂肪肝とは肝細胞に中性脂肪がたまった状態で、以前はアルコールによるものが主だったのですが、近年、肥満、糖尿病、高脂血症によるものが多くなってきています。これはまさに飽食と運動不足の現代社会で注目され始めたメタボリックシンドロームの状態です。
 過食や運動不足で生じた過剰な栄養は中性脂肪に変換され脂肪組織に蓄積されます。そこがいっぱいになると、肝臓などの内臓に蓄積され、肝臓は脂肪肝になります。これにインスリン抵抗性や酸化ストレスなどの因子が加わると、肝細胞障害、肝繊維化、肝発がんを起こします。
 血液検査でAST、ALT、γ-GTPの軽度上昇を指摘され、さらに肥満、糖尿病、
高脂血症、高血圧などの合併症があれば、あなたの肝臓は脂肪肝である可能性があります。エコーやCTで確認しましょう。
 治療の基本は肥満の改善です。食事療法では、摂取カロリーを標準体重〈身長(ロ)×身長(ロ)×22〉あたり一日25〜35
キロカロリーに制限します。運動療法では有酸素運動が有効で、ウォーキング、ジョギング、水中歩行などを連続20分以上軽く汗ばむ程度に行います。全力疾走は無酸素運動ですすめられません。薬物療法はまだ確立されたものはありませんが、インスリン抵抗性改善剤、抗酸化作用を持つビタミンCやE、高脂血症治療薬、ウルソやEPLなどの肝臓用薬、血圧降下剤のARBなどが使用されます。
 脂肪肝になってからあわてるよりも、ならないように日々の生活に気を付けましょう。


メタボリックシンドローム
 ライフスタイルの欧米化により、肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症の患者は増加の一途をたどっています。メタボリックシンドロームという言葉をご存じでしょうか。生活習慣病である糖尿病、高血圧症、高脂血症は単独でも厄介な病気ですが、これらが重複すると動脈硬化を促進し、さらには致命的な心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい事が分かっています。ウエスト周囲径が男性で85p、女性で90p以上を要注意とし、その中で@中性脂肪値150r/鼈ネ上、またはHDLコレステロール値40r/齧「満A血圧高値(最高血圧130oHg以上、または最低血圧85oHg以上)B高血糖(空腹時血糖110r/鼈ネ上)の三項目の内二つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断します。メタボリックシンドロームでは一つひとつの症状は深刻ではなくても重複して持つと心筋梗塞などの危険性が30倍も高いとされています。
 内臓脂肪の蓄積がメタボリックシンドロームの根本原因である事が明らかとなったため内臓脂肪蓄積の兆候をつかみ予防につなげようとするのがこの診断基準の目的です。内臓脂肪蓄積、肥満は過食、運動不足によって起こります。過食原因の大半はストレスです。それゆえ食事・運動療法を行い、ストレス原因の解消に努め、減量する事が大切です。砂糖、油類は減らし野菜を多く取り、アルコールは少量にし、一日一万歩を目標に歩き、夜遅くは食べない生活にしましょう。


急性虫垂炎について
 急性虫垂炎は、俗に盲腸≠ニも言われ、急に腹痛を来たす病気の中では比較的ありふれた病気ですが、治療が遅れると容易に重症化しやすいので注意が必要です。虫垂は盲腸にぶら下がった太く短いミミズのような部分で、右下腹部に位置します。ちょうど喉にある扁桃腺に似てリンパ腺が多く、いろいろな刺激で炎症を起こしやすいのです。軽い炎症であれば抗菌剤で抑える(散らす)事ができますが、ある時期を過ぎると薬では炎症が治まらず、手術治療が必要になります。
 典型的な症状としては、胃の辺りの不快な痛みで始まり、吐き気や嘔吐の後、痛みは次第に右の下腹部に移動していきます。熱が高い、歩いてもせきをしても響くなどは悪化の兆候です。そのまま放置して、痛みが腹部全体に広がるようなら腹膜炎の可能性があり、緊急の手術が必要になります。
 このような変化が一日余りの内に起こり得るので、休日や夜中でも疑わしい時は先延ばしにせずに救急外来を受診しましょう。
 ところで、最近の治療の話題としては、内視鏡下虫垂切除術です。おなかに数個所、5oから10oの小さな穴を開けて手術しますが、傷痕が小さくて目立たず、術後の痛みも少なく好評です。
 似たような症状を呈する病気が幾つかあります。大腸の憩室炎や小腸末端の炎症、婦人科の卵巣嚢腫(のうしゅ)や付属器の炎症などです。症状と経過、CTやエコーなどの画像検査で鑑別する事が可能です。


骨粗鬆症について
 骨粗鬆症とは骨がもろく、弱くなる病気です。閉経期以降の女性や高年齢の男性に多く見られますが、若い人でも偏食や極端なダイエット、副腎ステロイド剤、腎不全などの影響でかかる事があります。
 初期には自覚症状はありませんが、そのうち腰や背中が痛くなったり、曲がったりします。また、大腿骨頚部(ふとももの付け根)、背骨、手首などが骨折しやすく、骨折すると治りが悪くて、寝たきりになってしまう事があります。
 現在骨粗鬆症による骨折は、寝たきりになる原因で見ると、脳卒中、老衰に次ぐ第3位ですが、今後さらに増加すると予想されています。
 骨粗鬆症は、骨量測定、レントゲン検査で診断できます。いずれも苦痛を伴わず、短時間で安全に検査できます。治療には食事・運動・薬物療法の3つがあり、うまく組み合わせれば骨粗鬆症による骨折を予防できます。なお、十分な治療効果を得るのには、自覚症状のない初期から治療を開始する事が重要です。そのため、骨量などの検査を定期的に受ける事をおすすめします。
 最近、骨粗鬆症がマスメディアでもよく取り上げられ、日本人の食事のカルシウム(Ca)不足が話題になっています。牛乳、小魚、豆腐などのCaの多い食品を積極的に摂取する事は良い事ですが、CaやビタミンDを薬剤やサプリメントのような形でむやみに取ると、急性腎不全や腎結石といった副作用が起こる事もありますので、民間療法に頼るのはおすすめできません。


分かっちゃいるけどやめられない
 昔の歌に「分かっちゃいるけどやめられない」という歌詞の曲がはやった事があります。
 現在ではその「やめられない」思考や行為を強迫観念や強迫行為と呼び、そのために日常生活に支障をきたしている場合の状態を強迫性障害と呼んでいます。
 例えば、自分で戸締まりや火の始末をしておきながら、それを忘れたのではないかという考えが常にわき起こり(強迫観念)、何度も家に戻って確かめてみる(強迫行為)などがあります。ほかにも、触った物が汚いと感じ何度も何度も手を洗ってみるとか、数が気になり目に付いた物を一つ一つ数える、つまらない事でも疑い、理由が知りたくなり確かめる、などさまざまな症状があります。
 自分ではこれらの考えが不合理である事が分かっており、それでもやめられないために、さらに苦痛が増して、家に閉じこもってしまう事もあります。何もしなければ何も考えなくて済むというわけです。
 この強迫症状はセロトニンという物質の調節が脳の中でうまくいっていないために起こると現在では考えられています。しかし、几帳面で責任感も強いが、融通性や柔軟性に乏しいといった性格の人にかかりやすいというのも事実です。従って、治療は、脳内のセロトニンを調整する薬が中心となりますが、性格からくる認知のゆがみも治していく必要があります。


不眠症の非薬物療法
 不眠症とは平常時より睡眠時間が短くなり、心身に不調が現れる症状の事です。現代社会においてストレスや緊張から不眠症は起こりやすくなっています。不眠症に対して睡眠薬を使用する前に、自分でできる快眠の工夫をしてみてはいかがでしょうか。
 まずは睡眠リズムの乱れを整えるために、毎朝同じ時刻に起床し、太陽の光を浴びる事です。眠りが浅い時はむしろ積極的に遅寝早起きを心掛けましょう。
 また日中は適度の運動をし、昼寝は短時間にとどめておきましょう。カフェインや喫煙などの刺激物を就寝前に避ける事も有効です。 アルコールは摂取後数時間経つと睡眠を浅くする効果があり、長期間の使用で耐性を生じてしまうので、睡眠薬代わりの使用は避けてください。
 過度に睡眠にこだわりを持つと、かえって緊張してしまい、不眠の原因となりますので、就寝時間にこだわらず、眠たくなってから床に就くぐらいの心持ちでいるのが良いでしょう。
 これらの刺激とは逆に、入眠前に心身をリラックスする事で睡眠へ移行する事ができます。自分に合った寝具や静かで暗い環境、適度な温度・湿度など、心地良い睡眠環境の調整を行い、読書や音楽鑑賞、ぬるま湯への入浴など、自分に合ったリラックス法を見付けるのが良いでしょう。
 睡眠障害が4週間以上継続する場合は専門医の受診も必要です。精神・身体の疾患が背景に潜む危険もあります。治療で使用される睡眠薬は正確な知識と用量・用法で使用すれば安全性も高く、効果も期待できます。


パニック障害
 最近テレビの特集で取り上げられたり、一部の著名人がこの病気を患っている事を明かしたりと、少しずつ「パニック障害」の名が広まってきました。パニック障害とはある日突然息苦しさ、動悸、めまい、発汗、吐き気、胸の痛み、しびれ、ほてりなどさまざまな体の症状とともに、このままでは苦しくて狂ってしまうのではないか、死んでしまうのではないかという強烈な不安・恐怖が襲ってくる病気です。このような発作はほとんどの場合数分程でピークに達し、徐々に治まってきますが、その後何度も繰り返し起こるのが特徴です。
 いったん発作が町や電車の中で起こると、患者さんは同じ場所に行く事を避けるようになり、またいつ同じ発作が起こるか分からないという不安を持ち続ける事になります。こういった恐怖、不安がストレスとなり、不眠やうつを併発する場合もあります。
 心臓発作にも似た激しい症状のために、最初は病院を受診すると心電図、血液検査、CTなど様々な検査を受ける事が多いですが、症状の根拠となる異常な部位は発見されません。そのため、従来は不安神経症や自律神経失調症、心身症などと診断される事も多かったようです。パニック障害は脳の神経バランスを整える薬などの薬物療法が奏効する事があり、恐怖感や不安感がそれほど強くない初期のうちに治療を開始した方が効果的です。内科などの検査で問題ないと言われたにもかかわらず、このような発作が何度か続くようであれば、早めに精神科・心療内科で相談されることをおすすめします。


東香里病院の特徴
 総合病院・東香里病院では、それぞれの科で充実した治療を受けていただく事ができます。従来の病院のスタンスは、急性期病院(急性疾患のみを扱う)に入院すると、2〜3週間で退院となり、その後は慢性療養型の病院に転院しなければなりません。
 その点、当院では急性期病棟と慢性病棟とを直結しているため、退院せずに引き続き安心してリハビリや療養が受けられるようになっています。
 さらに、介護老人健康施設「カリタス東香里」の併設により、家に帰るためのリハビリもサポート。
 自宅で看護が必要な方には訪問看護ステーションより医師の指示で看護師が定期的に訪問したり、家族の介護負担問題を考えた在宅介護支援(ショートステイ)も可能です。
 このような徹底したサポートに加え、幾つかの治療方法を患者さんやその家族に報告して、一緒に選択するインフォームドコンセントも喜んでいただいております。例えば人工透析では、これまでの通院による血液透析だけでなく、自宅でできるCAPD(腹膜透析)という方法も提案しています(血液透析の患者さんには、JR星田駅から車での送迎もいたします)。
 今後は「予防医学」の時代。当院では、診療報酬改正後、保健適用で「禁煙外来」を開設予定。骨粗鬆症の専門外来もスタートしています。
 病気は誰でも持っているもの。目をそらすのではなく、受け入れて仲よく暮らしていくことが大切です。


閉塞性動脈硬化症について
 最近、動いた後に足先やかかとに冷感やしびれを感じたり、痛みを感じたりしたことはありませんか?読者の方でこのような症状があり、高血圧、高脂血症、糖尿病、狭心症などの疾患を一つでもお持ちの方は閉塞性動脈硬化症の可能性があります。この疾患は動脈硬化に伴い動脈内腔が狭くなったり、詰まってしまったりすると手足、特に足に血流が不足する症状を呈する疾患であります。症状としては歩行時に起こる痛みが主ですが、重症化しますと安静時でも痛みが起こり、潰瘍や壊死を起こし下肢の切断を余儀なくされる場合もあります。診断には問診、視診、触診に加え簡便にできる検査としては下肢と上肢の血圧を同時測定(ABPT)することにより血流の障害の程度が判断できます。
 軽症例では内服薬(抗血小板薬)で病変進行の予防や虚血症状の改善に効果が期待できます。重症例では注射薬(プロスタグランジン製剤)の投与や場合によってはバイパス手術や血管内カテーテル治療が必要になってきます。
 また注意しなければならないのは脳血管障害(30%)、虚血性心疾患(40%)の合併が多い事であり、閉塞性動脈硬化症の診断をされた方はこれらの疾患も併せて診断する事が必要となってきます。同じような症状に脊柱管狭窄症の可能性もありますが、気になる方は診察・検査を受けに来院してください。


うつになる自分に対する誇り
 ある調査によると一生のうちにうつと診断される人が占める割合はおおよそ15%。また現在うつで治療を受け ている方はおおよそ3%しかいないとされます。うつを恥じるべき事と思い、治療を受けていない方が多数いる状況が推測できます。
 常識やルール、法律は人々が公平に扱われ、円滑に生活するためには必要ですが、それらに一番の重きを置いては「内面」「心」が大切にされず「体裁」「世間体」ばかりが重んじられる事にもなりかねません。
 見方を変えれば、前代未聞の凶悪犯罪が生じる「心のない」現代社会の方が問題であり、うつになる方は「心がある」がゆえに現代社会に適応しづらいと言えます。心の美しさこそ重視すべきで、数多くの聖人が残された「人を愛すること、自分よりも人のために」という言葉が一度見直されるべきではないでしょうか。
 「(こんな世の中だからこそ)周囲にどう思われようとも、自分らしくでいいんだ、自分が明らかに正しいと思う事を曲げないんだ」と徐々にでも思える事や、世の中で楽しいとされるあらゆる事にも無価値感を抱く中で、周囲の人たちの愛に支えられ回復される体験から「この世で最も大事なものは他者に対する愛や思いやりである」と薄々でも実感できる事が、治癒過程において私は薬効よりも重要だと思います。
 うつで悩んでいる皆さん、どうかうつになる自分の「汚れない心」に誇りを持ってください。


白内障について
 最近、かすんで見える、視力が落ちたようだ、というのが白内障の代表的な症状ですが、このほかにも明るい所で見えにくい、対向車のヘッドライトがまぶしい、片目で見ても物が二重、三重にだぶって見える、などがあります。
 眼の構造はカメラのようであり、レンズに当たるのが水晶体、フィルムに当たるのが眼球の内側に張り付いている網膜です。水晶体が濁り、光がうまく通らなくなったり、光が乱反射したりして網膜に鮮明な像が結べなくなるのが白内障です。原因としては加齢が最も多いですが、糖尿病やアトピーがある場合は若い人でも白内障になることがあります。
 治療は主に点眼と手術があります。点眼は水晶体の濁るスピードを遅くするためのものですが、白内障の症状をなくすものではありません。白内障が進行して日常生活に不自由を感じるようになれば手術を考えます。手術では濁った水晶体を超音波などを使って取り出し、人工レンズと入れ替えます。手術は局所麻酔で行いますので痛みはほとんどありません。ただし、人工レンズは調節力がなく、焦点の合う距離が限られますので、術後1、2か月たって視力が落ち着いたころに眼鏡を合わせることが多いです。
 最後に視力低下の原因は白内障以外にもっと眼の奥の網膜、視神経などの病気であることも考えられます。症状がある場合は一度眼科を受診されることをお勧めします。


女性のストレス
 朝、目覚めて、何だか気分が重い、仕事に出掛けるのがおっくうだという経験はありませんか?誰しも感じるこの憂うつが長く続き、日常生活に差し障るほどになれば、それはうつ病かも知れません。うつは心の風邪といわれるように、すべての人が一生に一度はかかるぐらいありふれた病気です。そして多くの場合、抗うつ薬がよく効きます。近年SSRIやSNRIといわれる副作用の少ない抗うつ薬が開発され、随分使いやすくなってきました。
 発作的に動悸、呼吸困難などの身体症状と強い不安、恐怖が現れ、コントロールができない状態に陥る疾患をパニック障害といいますが、これにも抗うつ薬は有効です。治療の開始が速やかであれば軽症で済み、治療期間も短縮できます。
 次に女性のライフサイクルに目を向けると、思春期には女の子の方が外からの評価に敏感で、友だち関係に悩んだり、容姿のことが気になったり…。成人した後は職場でのストレス、仕事と家庭の両立、親の介護など、ストレスの元は枚挙にいとまがありません。内分泌環境の変化も精神面に影響します。マタニティーブルーや、月経前緊張症候群、更年期障害など。この次々と現れるハードルを軽やかに楽しみながら越えていきたいものですが、時にはエネルギー不足になることも…。その時は気軽に精神科、神経科を受診されることをお勧めします。ストレスはなくせなくても立ち向かう力を回復してもらえると思います。


睡眠時無呼吸症候群
 最近、十分寝ているのに、朝起きた時、何か疲れが取れていない、寝不足、頭が重い、痛い、仕事中や運転中に突然睡魔が襲って来て…など、怖い経験をしたことがありませんか?「イビキをかいているよ」「時々息が止まっているみたい」「性格が変わったね」などと家族や友人に言われていませんか?ひょっとしたらあなたは睡眠時無呼吸症候群かも知れません。
 睡眠時無呼吸症候群の定義は「一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる、または、睡眠1時間当たりに無呼吸数や低呼吸が5回以上起こる」ものです。無呼吸状態は体内の酸素不足を招き、循環器系や呼吸器系に影響を与え、やがては体にさまざまな障害(高血圧、不整脈、心不全、突然死)が出てくると考えられています。イビキは言わば体の発する危険信号です。厚生労働省では睡眠1時間当たりの低呼吸数が20回以上起こる場合の、5年後の死亡率は16%と報告しています。
 記憶にも新しいと思いますが、一昨年2月、山陽新幹線の運転士が居眠りのまま約30qも暴走した事件がありましたが、検査をすると重症の睡眠時無呼吸症候群でした。
 当耳鼻咽喉科でもこの検査を行っています。検査内容は、入院してもらってアプノモニターという器械を着けて寝るだけの簡単なものです。一度、お気軽にご相談ください。


消化管の健康診断
 読者の皆様の中には、毎年胃のレントゲン検査を受けておられる方も多いと思います。検査の目的はもちろん胃癌の早期発見です。 今日、リンパ転移の可能性が少ない早期胃癌では、内視鏡技術の進歩により内視鏡下粘膜切除法が主流となってきました。開腹手術に比べて体に対する負担も少なく、胃の形が損なわれることもない画期的な治療法です。そのような早期胃癌の段階で発見するために積極的な内視鏡検査をおすすめします。レントゲン検査では発見しにくい粘膜の色調変化のみの早期病変が見つかることもあります。また、萎縮性胃炎が認められれば、ピロリ菌の存在を確かめ、抗生物質による除菌療法を行い、将来の胃癌のリスクを減らすこともできます。胃癌は早期に見つかれば完全に治せる癌です。 次に大腸についてはスクリーニング検査として便潜血反応が一般的に行われていますが、これによる早期癌の発見率は5割以下といわれています。近年、食生活の欧米化に伴い、胃癌に比べ大腸癌が増加しています。大腸の検査は大変だと思われがちですが、内視鏡がのどを通らないためそれほど苦しい検査ではありません。早期癌の段階で見つかれば大腸癌も内視鏡治療が可能です。
 最後に小腸については現在あまり検査が行われていませんが、撮影装置を内蔵したカプセルを飲んで検査するカプセル内視鏡や、尺取り虫のように内視鏡を進めるダブルバルーン内視鏡が開発されてきています。
 早期発見早期治療で、快適な毎日を過ごしましょう。


「ケガ」(外傷)の治療
 親指、人差し指、中指、薬指(親指側半分)のシビレを自覚したり、夜、目が覚めるほど痛んだことはありませんか?シビレをガマンしているうちに、ボタンをかけるのが不自由になっていませんか?親指の付け根のふくらみが痩せていませんか?思い当たる方は、手根管症候群であると考えられます。
 手根管は、手首の掌側で、手根骨と横手根靱帯に囲まれたトンネル状の部位のことで、指を曲げる腱と正中神経が通っています。この正中神経に圧迫が加わることで、症状が出るのです。
 女性、とくに妊娠出産期と更年期に多く、両側性のことも稀ではありません。手をよく使う職業の方、糖尿病、関節リウマチ、長期間、血液透析を受けている方にも多いです。
 手部根管を叩くとシビレのある指先に痛みが走る、手首を掌側または甲側に折ったままにしておくとシビレが強くなる、などで診断します。また、電気生理学的検査で、正中神経伝導速度が遅くなっていることも診断の根拠となります。
 治療としては、頸椎症など他の疾患を除外した上で、安静、消炎鎮痛剤内服、ステロイド注射などの保存的治療を行い、回復の思わしくない場合に手術治療を行います。手術としては、小切開で行う場合と、内視鏡的に行う場合がありますが、横手根靱帯を切って、正中神経の圧迫を取ることが基本となります。日帰りか、一泊の入院で手術は可能です。思い当たる方は、お気軽にご相談ください。


毛根管症候群とは
 親指、人差し指、中指、薬指(親指側半分)のシビレを自覚したり、夜、目が覚めるほど痛んだことはありませんか?シビレをガマンしているうちに、ボタンをかけるのが不自由になっていませんか?親指の付け根のふくらみが痩せていませんか?思い当たる方は、手根管症候群であると考えられます。
 手根管は、手首の掌側で、手根骨と横手根靱帯に囲まれたトンネル状の部位のことで、指を曲げる腱と正中神経が通っています。この正中神経に圧迫が加わることで、症状が出るのです。
 女性、とくに妊娠出産期と更年期に多く、両側性のことも稀ではありません。手をよく使う職業の方、糖尿病、関節リウマチ、長期間、血液透析を受けている方にも多いです。
 手部根管を叩くとシビレのある指先に痛みが走る、手首を掌側または甲側に折ったままにしておくとシビレが強くなる、などで診断します。また、電気生理学的検査で、正中神経伝導速度が遅くなっていることも診断の根拠となります。
 治療としては、頸椎症など他の疾患を除外した上で、安静、消炎鎮痛剤内服、ステロイド注射などの保存的治療を行い、回復の思わしくない場合に手術治療を行います。手術としては、小切開で行う場合と、内視鏡的に行う場合がありますが、横手根靱帯を切って、正中神経の圧迫を取ることが基本となります。日帰りか、一泊の入院で手術は可能です。思い当たる方は、お気軽にご相談ください。


透析治療とは
 私たちは毎日食事をし、お茶やコーヒーなどを飲んで生活しています。そして余分なものを便や尿として排泄しています。腎臓は血液中の余分な水や老廃物を尿として排出する機能を持っています。この腎臓の機能がなくなると尿が出なくなり、身体に余分な水や老廃物がたまって生命が維持できなくなります。このような人は、人工腎臓(血液透析)を使って余分な水や老廃物を除去する治療が必要です。
 人工腎臓(血液透析)とは血管から血液を注射針で取り出した後、血液回路と呼ばれるチューブで血液透析器に導き、ここで余分な水や老廃物を取り除いた後、再び血管内に戻すための装置です。直径が約0.2ミリの小さなストロー状の中空糸膜が約1万本詰まっており、この中を血液が流れ、管の壁にある細かな穴を通して余分な水や老廃物を除去します。この中空糸膜の外側に透析液を流し、そこを介して血液中の老廃物は透析液に移り、同時に血液中に不足しているものは透析液から補われます。
 こうして腎臓の働きが低下した人も人工腎臓を使用した透析療法によって社会復帰しています。ただ、残念ながら腎臓病を治す手段ではありません。そのため週2〜3回は一回3〜4時間の透析が必要です。また食事制限や水分制限も必要です。しかし透析療法が普及したことで、腎臓の働きがゼロになっても寿命を全うすることができるようになったのです。


うつ病と精神科治療
 責任感が強く几帳面で熱中しやすい。でもその一方で他人の配慮も怠らない。こういう性格をメランコリー親和性格といい、うつ病になりやすいといわれています。
 うつ病になると憂うつ気分や無気力な状態が長期間続き、日常生活にまで支障をきたすようになります。しかし、多くの人はこのような症状を気の持ちようと考えてしまい、さらに焦って無理をすることにより症状を悪化させていきます。
 自分がうつ病でないかと心配なら、まずは精神科医の診察を受けることです。診察は精神科医との対話が中心になります。医師からは最初にいつごろからどんな症状があったか、きっかけとなるような出来事があったか、家族に同じような症状になった方がいるか、逆に元気が良すぎる時はなかったかなど尋ねられますが、正確に答えられなくても心配は要りません。
 家族の方と受診されたほうが客観的な状態も分かるので、診断がより正確になる場合があります。また、脳の病気やホルモンの異常でよく似た症状が出ることがあるのでCTスキャンや血液検査を行うこともあります。うつ病と診断されれば薬物治療と精神療法を中心とした治療が開始されますが、症状が重い時は入院を勧められることもあります。
 精神科を初めて受診する時は勇気が要るものですが、うつ病もほかの病気と同様に早期発見、早期治療が大切です。気楽な気持ちで精神科を受診されることをお勧めします。


アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療

 花粉症の人たちにはつらい季節の到来です。
 今年は去年の約20倍、過去10年間平均の約2倍のスギ花粉が飛散すると予想されています。
 花粉症は今や国民病とも言われ、5、6人集まれば1人は悩んでおられます。アレルギー性鼻炎に対していろいろなお薬が出ていますが、お薬だけでは症状の軽快が見られない人も多くいます。そこでそういう人たちに対してレーザー治療という方法があります。下鼻甲介粘膜をレーザー照射し変性させることで鼻粘膜でのアレルギー反応を抑えて諸症状のくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどを軽減させることができます。改善率は約8割強で効果は人によって差はありますが、数年間持続します。効果的な照射時期は人により違いますので、その人の花粉症の時期を外すのが良いと思われます。
 さてその方法ですが、麻酔液を鼻粘膜に直接注射するのではなく、麻酔液を浸したガーゼを下鼻甲介粘膜に約20分くらい置き、その後レーザーで照射、所要時間は約5分くらいです。照射時の臭いは多少ありますが、痛みや副作用はほとんどありません。当日、翌日に鼻水が多少出る場合もありますが、たいてい2、3日くらいで治まってきます。10歳前後の子どもでも十分に受けることができます。この治療を週に1回で計3回行います。
 ご希望の方は当院耳鼻咽喉科に相談してください。  
          



My Life Top

Copyright(C) 2000 - 2005 My Life News all rights reserved