星降る丘から健康便り

医学博士・部長  高橋 務先生
医学博士・副院長 福永 隆三先生
医学博士・副院長 救急部長 森川 和要先生
医学博士・脳卒中内科 吉川 健治先生
部長 本田 雄二先生
内科部長 清水 義臣先生
医長 杉浦 史郎先生


星ヶ丘厚生年金病院 
枚方市星ヶ丘4-8-1 TEL072-840-2641





脳卒中について7〜脳梗塞のカテーテル手術〜 平成24年3月15日合併号/杉浦 史郎先生
脳卒中について6〜不整脈と脳梗塞〜
 平成24年2月15日合併号/清水 義臣先生

脳卒中について5〜くも膜下出血〜
 平成24年1月1・
15日合併号/本田 雄二先生

脳卒中について4〜脳卒中と認知症のこと〜
 平成23年12月15日号/吉川 健治先生
脳卒中について3〜脳内出血の症状と治療〜
 平成23年11月15日号/森川 和要先生
脳卒中について2 平成23年10月15日号/福永 隆三先生
脳卒中について1 平成23年9月15日号/高橋 務先生


 



脳卒中について 7 〜くも膜下出血〜

 今回は脳梗塞(血管が詰まって起こる脳卒中)に対するカテーテル手術についてお話します。
 脳梗塞の初期治療は血をさらさらにする薬などの点滴で脳血流の改善を図ることになります。しかし、脳の太い血管が詰まる重症の脳梗塞の場合、点滴治療では十分な効果が期待できず、そのままでは重い後遺症により寝たきりとなったり、数日中に致命的となったりすることもあります。そういう場合、点滴治療に加えてカテーテル手術を検討します。
 具体的にはカテーテルと呼ばれる直径1ミリ前後、長さ1メートル程度の軟らかい管を足の付け根から体内へ入れ脳の血管まで進め、小さな風船で血管を広げたり、ステントと呼ばれる軟らかい金属製の筒をはめ込んだり、血栓を吸い出したりします。
 ここ数年で新しいカテーテルが開発されてきており、より効果的な治療法として注目されています。カテーテル手術により重い症状が劇的に改善する場合もありますが、残念ながら全ての患者さんで有効という訳ではありません。 血管の老化がきつい場合は、手術そのものができませんし、脳が重いダメージを受けてしまう前の発症数時間以内に行なわなければ治療効果がないばかりか、重い合併症が起こりかねません。ですから、脳卒中を疑う症状が出た場合は一刻も早く専門病院を受診することが大切です。


脳卒中について 6 〜くも膜下出血〜

 日本では毎年新たに25万人が脳卒中を発症していると推計されています。その中でも近年、不整脈を原因とする脳卒中(脳梗塞)が増加しており、これは高齢者の増加に伴い「非弁膜症性心房細動」という不整脈が増えていることが原因です。一旦発症すると重い麻痺や言語障害、意識障害などの後遺症を残すことが多く、「心原性脳塞栓症」と呼ばれます。心原性脳塞栓症のほとんどは心房細動が原因であり、脳梗塞全体の約3割を占めています。心房細動の患者数は今後も増え続けると予測されており、現代医療において重要な課題であると言えます。
 治療は発症3時間以内の超急性期にはrt-PAという薬を使用する「経静脈的血栓溶解療法」の良い適応となります。この治療は当院脳卒中センターでも施行可能であり、効果を認めた場合は症状が劇的に改善します。慢性期再発予防には「経口抗凝固療法」が選択されます。不整脈自体の治療や後遺症に対するリハビリテーションも重要です。
 最近では新たな経口抗凝固薬も開発されており、今後治療法の発展が期待される脳梗塞であると言えます。


脳卒中について 5 〜くも膜下出血〜

 今回は、「くも膜下出血」についてお話させていただきます。くも膜下出血の70%〜80%は脳動脈瘤の破裂によるものです。
 脳動脈瘤が破裂すると、これまでに経験のない頭痛が突然起こり、激しい嘔吐を伴い、意識を失うこともあります。多くは救急搬送されて救急受診しますが、まれに、独歩で普通の外来を受診し診断されることもあります。
 くも膜下出血と診断がつけば、次に原因の追究のために脳血管の検査を行っていきます。動脈瘤が見付かれば、その部位、大きさ、形状、親動脈との関係などの詳細を検討し、治療方針を決めていきます。
 治療の目的は、致命傷となりやすい再破裂を予防すること。神経症状が悪い場合は、手術適応でなくなります。
 治療として開頭手術による動脈瘤のクリッピングと血管内治療による動脈瘤のコイル塞栓術があります。いずれも動脈瘤の破裂部に血流を行かなくすることで破裂を予防します。
 当院では開頭手術による治療を原則として第一選択に検討しますが、動脈瘤の部位、形状によっては、開頭手術よりも血管内治療がより適切な場合があります。その場合は、血管内治療の専門医に来てもらい治療を行ったり、治療を行っている施設に転送したりしています。


脳卒中について 4 〜脳卒中と認知症のこと〜

 当院には、SCU(脳卒中ケアユニット)と専任スタッフによる「脳卒中センター」があります。
 同センターの使命は、 脳卒中の患者さんを迅速に診断・治療し、社会復帰を進めることです。実際、血栓溶解や血管内治療などの最新治療によって麻痺が軽くなり、歩ける方が増えています。
 しかし、脳卒中センターの効果はそれだけではありません。認知症を減らすことにも貢献します。
 認知症は「心の病気」ではなく、患者さんとその家族の生活を静かに破壊していく「脳の病気」です。例えば、わが国で2番目に多い「脳血管性認知症」は、脳卒中により脳が傷付いた結果、生じます。当然ながら、脳卒中が減ればこのタイプの認知症も減少します。
 また、それだけではありません。最も多い認知症である「アルツハイマー病」の場合、「脳梗塞」は認知症の強力な「促進剤」です。よって、脳梗塞を抑えることで、アルツハイマー病の軽症化や発症予防が期待できるのです。
 脳卒中センターは地域の皆さんの脳卒中とその後遺症を減らすための拠点であるだけでなく、同時に「脳を守るセンター」、そして「生活を守るセンター」でも あると言えるでしょう。


脳卒中について 3 〜脳内出血の症状と治療〜

 脳内出血についてお話しします。おさらいになるかも知れませんが、脳卒中には血管が詰まってしまう脳梗塞と呼ばれるもの(脳血栓も同じ意味)と血管が切れる脳内出血、くも膜下出血があります。
 日本では、脳内出血が全脳卒中の2〜3割を占め、その発生頻度は欧米より数倍高いとされています。その原因の多くは高血圧症であり、全体の7割以上を占めます。
 症状としては突然、半身の麻痺やしびれが出たり、ろれつが回らなくなったりします。そのような症状が出た場合には、まずは安静にして、一刻も早く救急車を呼び、脳卒中専門の病院に運ぶことです。
 治療としては、基本的に内科的治療で経過を見ますが、ただ、生命に危険を及ぼす場合、あるいは機能回復を図るためには、手術治療が選択されます。その後、早期からのリハビリテーションが患者さんの予後に大きく影響しますので、しっかり行うことが重要になります。
 血圧に注意し、適度な運動、ならびに水分摂取を心掛け、再発を防止し、コレステロール値や血糖値に注意することも大切になります。
 星ヶ丘脳卒中センターは急性期の手術治療、超早期のリハビリが十分に行える施設です。


脳卒中について 2

 脳卒中の症状についてお話しします。脳卒中は発作として、次のような症状が突然に起こります。
1.片方の手足・顔半分の麻痺・しびれ(手足のみ、顔のみの場合もあります)。
2.ロレツが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない。
3.力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
4.片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける。
5.経験したことのない激しい頭痛がする。
 このような症状が現れた時には、脳卒中が起こったと考えて、一刻も早く、救急車で専門医のいる病院を受診してください。
 また、脳卒中の前触れとして一過性脳虚血発作(TIA)があります。これは、症状は脳卒中と全く同じですが、数分から十数分、長くても1日以内に完全に症状が消えてしまうので、放っておきがちになります。
 TIAを発症した方の約3割は近いうちに本当の脳卒中になり、さらにその2割の方(TIAの6%)は1か月以内に脳卒中を起こしています。ですから、TIAの時も放っておかずに必ず早く専門医を受診し、検査や治療を受けてください。その後の脳卒中の発生を大幅に減少させます。


脳卒中について 1

 皆さんは脳卒中という病気をご存じでしょうか。聞いたことはあるけれど詳しいことは知らない方や、中には現在治療を受けておられる方、またご家族の中で脳卒中になった方もおられるかも知れません。
 脳卒中とは脳の血管が急に詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳内出血、くも膜下出血)して様々な神経症状を起こす疾患のことです。「卒中」とは卒然として中(あた)るという意味があり、ある日突然発症し症状が現れます。
 厚生労働省の統計によると、脳卒中は日本人の死因の第3位で、133万人もの患者さんがおられ(平成20年患者調査)、介護が必要となった原因の第1位(23%)を占めます。昭和50年代前半までは脳卒中は日本人の死因の第1位でしたが、主に高血圧治療の進歩により脳出血死亡が減少し第3位となりました。
 しかしながら脳卒中そのものが減少したわけではなく、今後も人口の高齢化とともに患者数の増加が予想されています。後遺症を残すことも多く、医療・介護の面からも重要な疾患であり、まさに国民病とも言えます。
 これから脳卒中について様々な話題を提供させていただきます。皆さんに脳卒中に対する正しい知識を持っていただき、発症予防や、再発予防に少しでもお役に立てればと考えています。

              



mylife top

Copyright(C) 2000 - 2005 My Life News all rights reserved