| 健康レター 大星クリニック |
平成8年広島大学医学部卒。旧国立大阪病、NTT西日本大阪病院を経て、平成17年より現職。 |
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手の震え、筋肉の固縮、歩行障害などが同時に見られる時、パーキンソン症候群を疑います。
手の震えは比較的ゆっくりしており、何もしていない時に起こる傾向があります。親指とほかの指が、丸薬を丸めるように動くこともあります。
固縮とは、筋肉が固くなり動かしにくくなった状態です。曲げた腕をほかの人が伸ばそうとする時、がくがくした抵抗を感じる場合があります。
歩行障害は、歩き出しにくく、小股でしか歩けないことが特徴的です。歩き出すと次第にスピードがついて、前のめりに倒れることもあります。
これらの症状は、脳の中の神経伝達物質であるドーパミンの作用が不足している場合に生じるとされています。
原因は、ドーパミンを生成している黒質(中脳という部分にあります)の機能低下、動脈硬化による大脳の虚血状態、薬剤の影響など、様々ですが、いずれも薬物治療がメインとなります。
大脳の虚血が原因の場合には、歩行障害が主となる傾向があります。血小板の作用を抑え、血液をさらさらにする薬を主に使用します。
また、精神科や心療内科で処方される薬が原因となることもありますが、薬を変更すれば大抵良くなります。
「健康レター」は今回が最終回です。一年間、ご愛読ありがとうございました。皆様お元気でお過ごしください。
秋が深まってくると、インフルエンザの季節の到来です。
インフルエンザ・ウイルスには、A、B、Cの三つの型があります。C型は普通、風邪の症状だけで済むので、あまり問題になりません。また、B型は亜型がなく、ワクチンでの対処が比較的容易です。
一方、A型は、ウイルス表面のたんぱく質(HA、NA)の型のために様々な亜型があります。つまり、HAが16種類、NAが9種類あるので、全部の組み合わせは、なんと144種類にもなります。これらの亜型同士が遺伝子を交換したり、突然変異を起こしたりして、変幻自在に変化するので、A型は免疫がつきにくく、過去に恐ろしい大流行を起こしてきました。
最近の流行の主体となっているAソ連型はH1N1、A香港型はH3N2に分類されます。また、20世紀初めに猛威を振るったスペイン風邪は、H1N1の変種であったことが分かっています。現在、ヒトでの大流行が心配されている高病原性鳥インフルエンザもA型で、H5N1です。
次の流行がどの亜型になるか、予測は困難ですが、ワクチン接種が予防に有効であることは世界で証明されています。特に高齢の方はインフルエンザにかかると細菌性肺炎も起こしやすいので、インフルエンザワクチンに加えて、肺炎球菌ワクチン(5年間有効)も接種しておくと効果的です。
大星クリニックは、内科の診療のほかに人工透析も行っています。でも、透析って、一体なんでしょうか。
腎臓の働きが悪くなると、体の中の老廃物(ごみ)は尿の中に出にくくなり、次第にたまってきます。この状態を腎不全といいます。慢性腎不全では、血液を濾して尿を作るおおもとの装置である糸球体がだんだんにつぶれていくので、腎機能が少しずつ低下して血液中のごみの濃度が上がっていきます。体がごみの増加に耐えられなくなった時、尿毒症の症状が出てきます。
尿毒症の症状は、最初は食欲不振や吐き気などですが、そのうち痙攣や昏睡が起こり、最後には命を失ってしまいます。
でも、尿毒症が出るころになっても、血液を洗ってごみを取り除けば、患者さんはまた元気になれるのです。血を血で、ではなく、血を水で洗うのが透析の原理です。
透析を始めたら「一生しなければダメですか」と、よく聞かれます。慢性腎不全の場合、糸球体は再生不可能なので減り続け、尿毒症が生じるころには正常の1割未満に減ってしまっています。自前の腎臓の限界まで頑張ってきたので、ずっと透析を続ける必要があるのです。
一方、急性腎不全では、糸球体でできた尿を処理する尿細管だけが侵されていることがあります。尿細管は再生可能なので、その場合は数週間後に透析を止められることがあります。
糖尿病は、血液中のブドウ糖を体がうまく処理できなくて、ブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上がってしまう病気です。
筋肉が働くためにはエネルギー源であるブドウ糖が必要です。インスリンは、筋肉などの細胞にブドウ糖を取り入れさせるホルモンです。インスリンの作用が落ちて細胞がブドウ糖を取り入れることができず、血液の中で余っているブドウ糖を体がうまく利用できない状態が糖尿病なのです。
インスリンは、すい臓で作られるホルモンです。日本人の糖尿病のほとんどを占める2型糖尿病では、カロリーの取りすぎ、運動不足などがきっかけとなってインスリンの効きが悪くなることで発病します。一時はすい臓が頑張って大量のインスリンを出すのですが、効きが悪いので役に立たず、しまいにすい臓がへばってインスリンを十分出せなくなってしまう、という経過をたどります。
日本人は遺伝的にカロリーの取りすぎに弱く、そんなに太っていなくても糖尿病になる傾向があります。特に、血のつながった人に糖尿病の患者さんがいる方は要注意です。2型糖尿病の初期は自覚症状がなく、また空腹時血糖や尿検査だけでは診断しにくいのですが、ヘモグロビン・エー・ワン・シー(HbA1c)という、過去1、2か月の血糖値の平均を反映する数値も参考にすると診断がより確実となります。どうかなと思われる方は一度診察を受けてみましょう。
肝臓は、みぞおち辺りから右わき腹にかけて広がる、大きな内臓です。大人では重量は1s以上あり、血液を多く含むため、正常では赤褐色をしています。
肝臓は人体の化学工場のような働きをしています。腸で吸収された栄養分は、門脈という血管を通り、すぐに肝臓に流れ込みます。それを肝臓が直ちに処理し、適切に組み替えてくれます。
肉などに含まれるタンパク質を例に考えてみましょう。食物中のタンパク質は、いったん、構成要素であるアミノ酸の形に分解してから、腸で吸収されます。血液に乗って肝臓に運ばれたアミノ酸は、必要度に応じて各種の人間のタンパク質に再合成され、再び血液に乗って体の各部分に運ばれるのです
また、肝臓は腸から吸収されたブドウ糖をいったんグリコーゲンに変え、食後すぐに血糖値が上がりすぎないようにしています。逆に、空腹時にはアミノ酸をブドウ糖に変えて、血糖値が下がりすぎるのを防いでいます。
肝臓は、それ以外にもさまざまな物質の合成、加工を行っています。脂肪を消化するために必要な胆汁も、肝臓で作られています。
慢性肝炎が進行して肝硬変になると、肝臓の機能が極端に低下します。むくみ、腹水が現れ、血が止まりにくくなったり、血液中の各種のアミノ酸のバランスが崩れて意識障害も生じます。
腎臓は、背中側、ウエストの上、背骨の左右に一個ずつあり、縦10p、横5p程度の、赤黒いラグビーボールのような形をしています。
腎臓の一番の働きは、血液を漉して尿を作ることです。安静にしている時、正常な腎臓には左右合わせて毎分約1リットルの血液が流れており、その血液を漉して、毎分120tの原尿が作られます。でも腎臓は、漏斗のように単純に濾過しているわけではありません。原尿がそのまま尿として排せつされたら、10分足らずで脱水になり、血圧が下がって大変なことになります。そうならないのは、水分や、原尿に漉し出された糖分、アミノ酸、イオンやミネラルなどの必要な物質を、腎臓が再吸収して回収しているからなのです。
水分は、通常99%が回収され、実際の尿として排せつされるのは、原尿の1%に当たる、1日1〜1.5リットルにすぎません。また、腎臓は、再吸収の仕組みを用いて、正常な場合ブドウ糖を100%回収しているほか、血液を弱アルカリ性に保つ大切な働きもしています。
そのほか、腎臓にはホルモンを分泌する機能もあって、血圧を調節したり、赤血球を増やす役割まで果たしています。
腎不全で、血液中の老廃物を捨てる能力が正常の10%未満に低下すると尿毒症となり、そのままでは命を失ってしまいます。腎臓の代わりに血液を洗って老廃物を取り除くのが透析なのです。
「このところ、ずっとおなかの具合が悪い」と言って診察に来る患者さんがよくおられます。
下痢・便秘の原因にはいろいろありますが、最近増えているのがストレス性の消化管運動障害です。ストレスがきっかけで生じ、便通の異常以外に、胃のもたれや吐き気も伴うことがあります。
過敏性腸症候群はストレスで生じる典型的なものです。一番多いタイプでは、便の回数が増えたり、ゆるくなったりし、腹痛や腹部の不快感を伴います。ほかに、下痢と便秘を繰り返すタイプや、コロコロした硬い便が続くタイプもあります。
どのタイプもおなかが痛くなりやすいのですが、トイレに行くと、ましになるのが普通です。下痢型の場合、トイレが間に合わないほど急な便意をもよおすことがあり、通勤・通学や外出を苦にされる方も多くおられます。以前はサラリーマン、OL、学生に多い病気でしたが、ストレスフルな社会を反映してか、主婦や自営業の方にも患者さんが増えています。ストレスが減ると症状が良くなるのも特徴で、休日に腹痛がましになる場合は、会社や学校が原因になっていそうです。
治療は、胃腸の運動を調節する薬をメインに、必要に応じて精神安定剤なども処方します。
一方、大腸がんが原因で長びく下痢や便秘を起こすこともありますので、念のため検便などの検査を受けることも大切です。
読者の皆さんの中にも、高血圧と言われている方や、逆に低血圧で朝が苦手の方がおられると思います。
普通、腕で測っている血圧は、上腕動脈という動脈を流れる血液の圧力です。血圧は、どの動脈で測定するかによって、異なる値になります。例えば、正常の場合、足首で測った血圧は、腕の血圧より10%くらい高い値になります。また、動脈に狭くなっている部分がある時には、そこから先で測った血圧は低くなります。
最高血圧(収縮期血圧)は、心臓がぎゅっと収縮して動脈に押し出した血液の勢いを表します。一方、最低血圧(拡張期血圧)は、心臓の弁が閉まっていて、動脈に血液が送り出されていない時の血圧です。
最高血圧と最低血圧の差は、動脈硬化が進んで血管がしなやかでなくなると、だんだん大きくなる傾向があります。また、最低血圧が高い時には、塩分の取りすぎで体に余計な水分がたまっていることもあります。
高血圧が続くと、血管の壁に負担がかかって動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。また、血液のポンプである心臓を余計に働かせることになり、心臓の酸素需要が増える結果、酸素の供給が追い付かなくなると狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患を起こします。
目立った自覚症状がなくても、高血圧を放置しておいてはいけません。
動脈の壁の中に、血液中から染み込んだコレステロールや石灰分が水垢のようにたまったり、動脈の壁自体が厚くなる現象が、動脈硬化です。
動脈硬化はたいてい自覚症状がなく、水面下で進行すると、ある日突然脳梗塞・心筋梗塞などの重大な病気を引き起こしてしまいます。
動脈硬化を起こした動脈は、血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。大きくなった血栓で血の流れる部分が閉ざされてしまったり、血栓が飛んで動脈の先の方に詰まって起こるのが、梗塞と呼ばれるタイプの病気です。
最近では両腕両足首の4か所で血圧を測り、そのデータをもとにCAV
Iという数値を計算すると、全身の血管の動脈硬化度がよく分かることが知られてきました。
CAVIの値が0・9以上だと、これらの病気のリスクが明らかに高くなることが分かっています。5分程度の簡単な検査ですので、受けてみられてはいかがでしょう。
動脈硬化のリスクが高い場合には、血圧や悪玉コレステロール、中性脂肪、血糖値などのコントロールが重要となります。喫煙していたり、身内に心筋梗塞を起こした方がいる場合には、特に注意が必要です。
話題のメタボリック症候群も、動脈硬化を促進することで生命に危険が生じるのです。
さて、大星クリニックでは、毎月第4火曜日の午後3時から健康教室を開催しています。次回、2月26日は「メタボリック症候群」がテーマです。関心のある方はぜひお越しください。
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。さて、今回はお正月にちなみ、明るいトピックスをご紹介しましょう。
京都大学の山中教授の研究チームが、人の皮膚から採った細胞から誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに成功しました。多能性幹細胞とは、大まかに言うと、適切な条件を与えられればどんな臓器にも分化することのできる細胞です。
人は、1個の細胞である受精卵が細胞分裂を繰り返し、さまざまな器官が形成されて生まれます。将来、多能性幹細胞を使い、器官が胎内で形成される過程を再現できるようになれば、できた器官や組織を移植したり、体内で再生させることも夢ではなくなりそうです。
今までは、受精卵が分裂してできた細胞の塊を壊して多能性幹細胞を採ろうとしていました。しかし、この方法では、そのまま順調に成長すれば赤ちゃんになるはずの細胞の塊を人為的に破壊することになるので、倫理的に問題があります。
また、作られる臓器はもとになる受精卵のDNAを持っているので、移植を受ける患者さんにとっては他人の組織であり、拒否反応が起こる可能性があります。
山中教授たちの方法が将来実用化されれば、患者さん本人の皮膚から採った細胞で、自分の器官が再生できることになり、拒否反応の心配はなくなります。
越えなければならない高いハードルがまだまだ多いとのことですが、研究が進んで夢が実現するといいですね。
初めまして。大星クリニックの田中恵子です。これから1年間、健康についての話題を分かりやすく取り上げていきますので、よろしくお願い致します。
さて、大星クリニックでは、一般内科の治療と透析を行っています。透析は、腎臓の働きが低下してしまい、自分の腎臓では血液を十分浄化できなくなった時、腎臓の代わりに血をきれいにする治療です。では、どんな病気で将来透析が必要になるのでしょうか。
さまざまな原因で腎臓の働きが徐々に悪くなる病気を、「慢性腎臓病」と呼んでいます。日本では、成人の25人に1人は腎臓病の疑いがあると言われています。慢性腎臓病が進行すると、腎不全の状態に陥り、最後には透析を要するようになりますが、さらに、そればかりではありません。
慢性腎臓病で腎臓の働きが正常の60%以下になると、心筋梗塞や脳卒中になる危険が増すことが分かってきました。腎臓病の早期発見、早期治療は、腎臓を守るだけでなく、心臓病や脳卒中の予防にもなるのです。
慢性腎臓病は、自覚症状は少ないのですが進行性であることが多く、気付いた時には腎不全の状態になっていることがよくあります。いったん失われた腎機能は元に戻らないので、早期発見が特に大切です。そのために、尿検査・血液検査を定期的に受け、異常があれば精密検査を受けるようにしましょう。
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